薬理学の中で動物の行動実験は何の役に立つのか。遺伝子と脳が精神疾患の機序を解明し,培養細胞と遺伝子レベルで薬効の評価系が立ち上がるなら,面倒なわりにはクリアーな結果の出ない行動実験など必要ないではないか。しかし,「ルーティンだからやる」という姿勢を捨てて,行動薬理の真の面白さはどこにあるのかを考えよう。行動を知ることによって見えてくる問題もあるはずである。
(廣中直行 行動薬理概観〜動物の行動は何を物語るか p.219)