日薬理誌 115 (1), 53-57 (2000)


抗てんかん薬トピラマートの薬効薬理

中村 譲治 (1)、桑名 良寿 (2)、行俊 信幸 (1)

(1) 協和醗酵工業(株)医薬カンパニー医薬開発本部医薬開発センター
〒100-8185 東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル
(2) 協和醗酵工業(株)医薬総合研究所
〒411-8731 静岡県駿東郡長泉町下土狩1188

要約: トピラマートはfructopyranose骨格を有する新規の抗てんかん薬である.動物実験においては最大電撃痙攣を抑制し,ペンチレンテトラゾール痙攣に対しては抑制作用を示さない.また痙攣の閾値にはほとんど影響を与えないことから,発作波の伝播を抑制するタイプの薬物であると考えられている.作用機序としては,神経細胞の電位依存性ナトリウムチャネルを使用依存性(use‐dependent)に抑制する作用,GABA(γ‐アミノ酪酸)による塩素イオンの流入を増加させる作用,カイニン酸/alpha‐amino‐3‐hydroxy‐5‐methylisoxazole‐4‐propionic acid(AMPA)受容体を介する内向き電流の抑制作用がこれまでに判明している.海外の臨床試験においては部分発作等に対する有効性が確認され,既に英国,米国をはじめ世界55カ国では部分発作治療薬として承認を取得しており,現在,本邦においても症候性局在関連性てんかんを対象とした第III相試験が計画されている.

キーワード: トピラマート, 抗てんかん薬, 抗けいれん薬

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