日薬理誌 115 (1), 99-104 (2000)


インビボダイアリシスによる脳内一酸化窒素(NO)代謝物の測定

山田 清文、鍋島 俊隆

名古屋大学大学院医学研究科医療薬学・付属病院薬剤部
〒466-8560 名古屋市昭和区鶴舞町65


要約: 一酸化窒素(nitric oxide; NO)は血管,免疫および神経系において重要な役割を果たしている生理活性物質である.神経系においては神経伝達物質あるいは神経調節因子として高次神経機能の制御に関与している.NOの生理的および病態生理的な役割を解明するためにはin vivoでのNOの測定が不可欠であるが,NOは非常に不安定であり直接測定することは容易ではない.一方,NOの代謝物である亜硝酸イオンと硝酸イオンはグリース法により測定することが可能であり,グリース法とインビボダイアリシスを組み合せることにより,脳内におけるNO産生を間接的に測定することが可能となった.本稿ではこの方法の概略と問題点およびその応用例として,(1)ラット小脳でのNO産生におけるグルタミン酸受容体刺激とグリア細胞毒であるフルオロクエン酸の効果,(2)リポポリサッカライドの海馬内投与によるNO産生の変化と脳機能障害の関連,(3)ペンチレンテトラゾール誘発性キンドリングにおけるNOの役割について紹介する.

キーワード: インビボダイアリシス, 一酸化窒素(NO), フルオロクエン酸, リポポリサッカライド, キンドリング

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