日薬理誌 116 (5), 283-289 (2000)


トロンボモジュリン

大森 庸子 (1)、高橋 靖雄 (2)

(1) 持田製薬(株)研開本部 総合研究所
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(2) 持田製薬(株)研開本部 TM開発室
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-22 東伸24四谷ビル
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要約: 天然型のヒト可溶性トロンボモジュリン(MR‐33)は,ヒト血漿を用いたin vitro試験において,トロンビンの凝固促進作用を抑制するとともに,プロテインC(PC)活性化を介して,トロンビンの産生を抑制した.また,MR‐33は,AT III非依存的に抗凝固作用を発揮するとともに,ラットDICモデルにおいて,抗凝固薬の副作用となる出血を助長することなく凝固亢進を改善した.さらに,MR‐33は,マウス肺障害モデルあるいは虚血再灌流によるラット臓器障害モデルにおいて,凝固異常を改善するとともに,サイトカインの産生を抑制し,臓器障害の進展を阻止することが明らかとなった.これらのことより,MR‐33は,DICの治療薬として優れており,また,臓器障害を伴う疾患に対しても有用であることが期待される.

キーワード: トロンボモジュリン, プロテインC, DIC(播種性血管内凝固症), 臓器障害, サイトカイン

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