トロンビン活性化線溶阻害因子による線溶活性調節機構
浦野 哲盟
浜松医科大学第2生理学教室
〒431-3192 浜松市半田町3600
e-mail: uranot@hama-med.ac.jp
要約: 凝固系の活性化に伴い線溶活性が増強する事は旧くから知られており,種々の機構が提示されている.中でもフィブリンが一部分解されることによって生じるC末端Lysは線溶活性の増強に重要である.最近発見されたトロンビン活性化線溶抑制因子(TAFI)は,血漿中carboxypeptidase
B(CPB)と同一であり,トロンビンによる限定分解を受けて活性化される(TAFIa)と,ペプチドC末端のArgあるいはLysを遊離させる機能を持つ.プラスミンにより一部分解されたフィブリンのC末端Lysはその生理的な基質とされ,TAFIaはこれを除去することにより,フィブリンの線溶促進能を無くして線溶活性を抑制するとされている.本稿では凝固と線溶の相互作用を概説し,TAFIによる線溶阻害機構について述べる.
キーワード: TAFI, plasma carboxypeptidase B, リジン結合部位, トロンボモジュリン,
線溶
日本薬理学雑誌のページへ戻る