日薬理誌 116 (6), 359-370 (2000)


アデノウィルスを用いた簡便な遺伝子導入発現法

丸山 芳子、長尾  拓、黒瀬  等

東京大学大学院薬学系研究科薬効安全性学教室
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
e-mail: kurose@mol.f.u-tokyo.ac.jp

要約: 組換えアデノウイルスは,優れた遺伝子導入効率を持つ遺伝子導入法として,in vitroにおける培養細胞等での遺伝子発現実験や,in vivoでの接種による動物個体での遺伝子機能の解析実験など,基礎研究の分野において様々な目的で広く用いられるようになってきている.その一方で,今まで主に行われてきた哺乳類のパッケージング細胞内での相同組換えを用いる組換えアデノウイルスベクターの作製方法では,作製に多くの複雑な技術と長い期間とが必要であり,作製はそれほど容易なものではなかった.ところが,ここ数年の間に,そのような問題点を解決したともいえる改良された革新的な作製方法が次々と報告され,注目を浴びている.そこで,本稿では今までのように哺乳類のパッケージング細胞内での相同組換えを用いずに,今までの方法よりはるかに簡単に組換えアデノウイルスを作製する方法をとりあげ,そのうちの1つについて実際作製する上でのプロトコールも含めて詳細に述べることにする.

キーワード: 組換えアデノウイルス, 遺伝子導入

日本薬理学雑誌のページへ戻る