ウサギおよびラット気道分泌に対する新規システイン誘導体フドステインの影響
高橋 光一(1)、岩瀬 信久(1)、石川 真砂(1)、水野 博之(1)、好田 忠行
(1),甲斐 広文(2)、宮田 健(2)
(1)エスエス製薬(株)中央研究所
〒286-8511 成田市南平台1143
e-mail: Koichi.Takahashi@ssp.co.jp
(2)熊本大学薬学部薬物活性学講座
〒862-0973 熊本市大江本町5-1
要約: 新規システイン誘導体であるフドステイン[(‐)‐(R)‐2‐amino‐3‐(3‐hydroxypropylthio)propionic
acid]の気道分泌に対する作用をウサギおよびラットを用いて検討した.ウサギにおける気道内色素排泄量を気道分泌の間接的な指標にしたところ,フドステイン500 mg/kgの経口投与は,気道内色素量を有意に増加させた.一方,Perry
and Boydの変法を用いて,ウサギの気道液を直接的に採取したところ,フドステイン500
mg/kgの経口投与は,投与3時間後までの気道液量を有意に増加させた.なお,この時の気道液中に含有されるタンパク質およびホスファチジルコリン含量は,有意な変化を認めなかった.次に,気道の漿液性分泌に対するフドステインの作用を検討した.フドステイン500 mg/kgの経口投与は,ラット気管支肺胞洗浄液中において漿液性分泌の指標であるクロライドイオン濃度を有意に増加させた.一方,カルボシステイン500 mg/kgの経口投与は,気道分泌に対して影響しなかった.次に,in
vitroにおける検討を行ったところ,フドステイン(10−2 M)は粘液溶解作用を示さず,肺胞II型上皮細胞からのホスファチジルコリン分泌に対しても影響を認めなかった.以上,高用量のフドステインは漿液性分泌を伴う気道分泌促進作用を認め,従来のシステイン系去痰薬では認められない作用を有していると考えられる.
キーワード: フドステイン, 気道分泌, ウサギ, ラット, カルボシステイン
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