PPARsの生理・薬理機能
高橋 信之1),河田 照雄2)
1)生物系特定産業技術研究推進機構 肥満・脂質代謝制御研究プロジェクト
〒105‐0001 東京都港区虎ノ門3‐18‐19
虎ノ門マリンビル10F
2)京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻
〒606‐8502 京都市左京区北白川追分町
e‐mail: fat@kais.kyoto‐u.ac.jp
要約: ペルオキシソーム増殖薬応答性受容体(peroxisome
proliferator‐activated receptors:PPARs)は,発見当初リガンドが不明ないわゆるオーファン受容体であった.しかし,そのリガンドが薬理的な作用,特にフィブラート系薬剤のごとく中性脂肪低下作用などの脂質代謝,さらにはチアゾリジン誘導体のごとくインスリン抵抗性の改善による糖質代謝にまで広範で顕著な効果を示すことが判明して以来,急速な研究の進展を見せた.その結果,生活習慣病発症と関連する内分泌・代謝さらには血管機能や炎症などの循環器系や発がんの調節機構にも関わる多機能で主導的役割を有する重要な受容体として位置づけられるようになってきた.ここではPPARsの構造や生理機能,リガンドと薬理機能,さらにヒトゲノム解析と疾患などについて概説する.
キーワード: PPAR,核内受容体,生活習慣病,糖・脂質代謝,転写調節・共役因子異常症
日本薬理学雑誌のページへ戻る