新規15員環マクロライド系抗菌薬アジスロマイシン(ジスロマックR)の薬理学的および薬物動態学的特性
松永敏幸
ファイザー製薬(株) 中央研究所 前臨床申請業務部
〒470‐2393 愛知県知多郡武豊町5号地2番地
e‐mail: Toshiyuki.Matsunaga@japan.pfizer.com
要約: 15員環のマクロライド系抗菌薬であるアジスロマイシン(ジスロマックR)が,2000年3月に我が国で承認された.アジスロマイシンはStaphylococcus
aureus,Streptococcus pneumoniae,Streptococcus pyogenes,Peptostreptococcus
micros,Haemophilus influenzae,Moraxella catarrhalis,Mycoplasma
pneumoniae及びChlamydia pneumoniaeに対して,in vitroあるいはin
vivoで優れた抗菌活性を示した.特に,H.influenzaeに対する本薬の抗菌活性は,従来のマクロライド系抗菌薬より強力であった.本薬を患者に経口投与したとき,速やかに吸収されて体内に幅広く分布し,食細胞及び各組織には血清あるいは血漿中に比べて高い濃度が認められた.食細胞内へのアジスロマイシンの移行性はエリスロマイシンの10倍以上に達し,S.aureus存在下で食細胞からアジスロマイシンは細胞外へ速やかに遊離した.実験的マウス感染症において,感染組織のアジスロマイシン濃度は非感染組織より高く,食細胞の遊走により感染組織へ薬物が選択的に移送されることが示唆された.これらの薬理学的及び薬物動態学的特性が臨床効果に反映され,本薬は1日1回3日間という短期療法で呼吸器感染症をはじめ各種感染症に対して優れた有効性を示した.
キーワード: アジスロマイシン,マクロライド,アザライド,薬理学,薬物動態学
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