日薬理誌 118 (3), 211-218 (2001)


レボホリナート・フルオロウラシル療法

竹内 繁美1),村上  稔2)

1)日本ワイスレダリー株式会社抗癌剤グループ
〒460‐0003 愛知県名古屋市中区錦二丁目2番13号 名古屋センタービル
e‐mail: takeucs2@wai.wyeth.com
2)愛知県がんセンター血液化学療法部
〒464‐0021 愛知県名古屋市千種区鹿子殿1‐1


要約: レボホリナート(アイソボリンR)・フルオロウラシル療法(l‐LV・5FU療法)は,biochemical modulationの理論に基づく治療法であり欧米においてはロイコボリン・5FU療法(dl‐LV・5FU療法)として結腸・直腸癌を中心にその臨床応用が活発に行われ,現在では標準治療の一つと位置付けられている.国内においてはd‐LVが生理活性の無いことから生理活性を有するl‐LVを用いて臨床試験を実施し,欧米の成績に匹敵する効果が得られ1999年8月にレボホリナート・フルオロウラシル療法として胃癌(手術不能または再発),結腸・直腸癌の効能で承認された.用法・用量はRoswell Park Memorial Institute(RPMI)のPetrelli, N.らが開発したweekly法が国内で承認されている.近年,LV・5FU療法とイリノテカン(CPT‐11)あるいはオキサリプラチンを併用する療法の有用性が確認されつつあるが,日本人を対象としたこれらの臨床試験成績はまだ無く,日常診療において実施できる状況ではない.l‐LV・5FU療法の臨床試験における有害事象は白血球減少と下痢が主なものであり,grade 3以上の重篤なものも認められている.そのため,本療法実施にあたっては適切な症例を選択し副作用症状や臨床検査値を投与毎にモニターし,異常が認められた場合には休薬または減量をするなどの対処が重要である.



キーワード: レボホリナート,フルオロウラシル,biochemical modulation,胃癌,結腸・直腸癌

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