日薬理誌 118 (5), 340-346 (2001)


消化吸収阻害系薬物

辻  正富1),斉藤 宣彦2),井上 修二3)

1)昭和大学医学部第一内科
〒142‐8662 東京都品川区旗の台1‐5‐8
2)聖マリアンナ医科大学内分泌代謝科
〒216‐8511 川崎市宮前区菅生2‐16‐1
3)共立女子大学家政学部
〒101‐8433 東京都千代田区一ツ橋2‐2‐1


要約: 消化吸収阻害系薬物には,1)脂質吸収阻害薬と2)糖質吸収阻害薬がある.脂質吸収阻害薬としてはオルリスタットが,米国,欧州で実用化されている.本邦でも治験が開始されている.カワラケウメイ抽出物はその作用成分が同定されれば薬物として開発される可能性があるが,当面は食品添加による特定保健用食品(機能性食品)としての実用化が考えられる.脂肪代替食品としては脂肪の味覚を保持し,消化吸収されないオレストラ,蔗糖ポリエステルがあるがまだスナック菓子の添加物として使用されている段階である.糖質消化吸収阻害薬としては主として,小腸絨毛にある二糖類分解酵素活性を阻害するα‐グリコシダーゼ阻害薬が食後高血糖を抑制する作用により糖尿病薬として実用化されている.これが抗肥満薬として開発されるには下痢,放屁等の消化器系副作用の克服が鍵になる.

キーワード: α‐グルコシダーゼ阻害薬,消化吸収阻害薬,リパーゼ阻害薬,オルリスタット,脂肪代替食品

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