日薬理誌 118 (6), 383-388 (2001)


スフィンゴシン1‐リン酸定量法の確立とその応用

岡島 史和

群馬大学生体調節研究所調節因子部門シグナル伝達分野
〒371‐8512 前橋市昭和町3‐39‐15
e‐mail: fokajima@showa.gunma‐u.ac.jp

要約: S1Pは細胞増殖,分化,接着,運動,アポトーシスのような様々な細胞機能に関与していることが知られてきた.このS1Pは当初,細胞内ターゲットを介して作用すると考えられていたが,Gタンパク質連関受容体を介し,細胞外シグナル伝達分子として機能する場合があることも判ってきた.S1Pの生理機能,病態生理における役割を知るためには,作用解析のみならず,S1Pの動態制御を知ることも重要である.我々は最近,S1Pの定量法として,S1P受容体の一つEdg‐1を強発現した細胞上での標識S1Pと検体中S1Pの競合反応を利用したラジオレセプターアッセイ法を開発した.本稿では従来法との比較とその問題点,また,我々がこの測定法を用いどのような研究をおこなっているか,今後の展望などについて述べた.

キーワード: スフィンゴシン1‐リン酸,ラジオレセプターアッセイ法,リポタンパク質

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