日薬理誌 119 (3), 175-184 (2002)


外用H1ブロッカー塩酸レボカバスチン(リボスチン点眼薬,リボスチン点鼻薬)の薬理作用と臨床効果

秋吉  恵1),重岡 恒彦1),鳥居 慎一1),牧  栄二2),榎本  悟1),高橋 宏正3),平野 文也4)

ヤンセンファーマ株式会社 研究開発本部 
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要約: レボカバスチンは4‐arylcyclohexylamine誘導体のひとつで,ベルギーのヤンセン社において合成された新規Hブロッカーである.選択性が高く,特異的なヒスタミンH受容体遮断作用のほかに,肥満細胞からのケミカルメディエーター遊離抑制作用や好中球・好酸球の遊走抑制作用を持つ.ヒスタミン点眼および感作動物への抗原点眼により誘発した結膜炎モデルにおいて,レボカバスチンは結膜炎症状を改善した.レボカバスチンはモルモットにおける抗原誘発結膜炎モデルの涙液中ヒスタミン量増加の抑制や,ヒスタミン点眼並びに抗原点眼による結膜炎モデルでの血管透過性亢進をレボカバスチンが抑制することが示された.また,ヒスタミンおよびサブスタンスP誘発鼻炎モデル並びに感作動物における抗原誘発鼻炎モデルにおいて,レボカバスチンは血管透過性亢進を抑制した.さらに,レボカバスチンの抗ヒスタミン作用用量と非特異的作用用量との差(特異性指数)は他の抗アレルギー薬と比べ非常に大きく,その非特異的作用としては眼瞼下垂が認められたのみであった.このような選択的,特異的な抗アレルギー作用と,局所投与経路の優位性を有するレボカバスチンは,臨床においてアレルギー性結膜炎並びに鼻炎治療薬としての有用性が期待され,国内外の臨床試験においてアレルギー性結膜炎や春季カタル,アレルギー性鼻炎の治療に有効かつ安全な薬剤であることが示されている.


キーワード: レボカバスチン,アレルギー性鼻炎,アレルギー性結膜炎,抗ヒスタミン薬,リボスチン

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