日薬理誌 119 (5), 301-308 (2002)


脳保護薬(フリーラジカルスカベンジャー)エダラボン(ラジカット注30 mg)の非臨床および臨床プロフィール

田中 正彦

三菱ウェルファーマ株式会社 開発本部 開発推進部 開発企画グループ
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要約: フリーラジカルが脳虚血後の主な傷害因子の1つであることは数多く報告されている.エダラボン(3‐methyl‐1‐phenyl‐2‐pyrazolin‐5‐one(分子量174.20),MCI‐186,ラジカット注30 mg)は有害なラジカルを消去無害化することで,脳虚血後の神経細胞や血管内皮細胞の酸化傷害を防ぐ脳保護薬である.エダラボンはラット脳虚血モデルにおいて,脳局所虚血後あるいは虚血再開通後の静脈内投与により,脳内の・OH増加を抑制するとともに,脳梗塞巣の進展および遅発性神経細胞死を抑制した.また,エダラボンは虚血に伴う神経症候および脳浮腫を軽減した.脳梗塞急性期患者を対象に実施した臨床試験において,エダラボンは脳梗塞の中核症状である神経症候,日常生活動作障害および機能障害を改善した.平成13年4月に,脳梗塞急性期に対し,発症後24時間以内に投与を開始とする効能効果,用法用量により製造承認を得た.脳保護薬として脳梗塞急性期治療に貢献することを期待している.

キーワード: エダラボン,フリーラジカル,過酸化脂質,脳保護,脳梗塞急性期

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