日薬理誌 120 (1), 55-62 (2002)


抗HBV薬ラミブジン(ゼフィックス(R)錠100)の薬理作用と臨床効果

藤原 将寿1),劉  世玉

グラクソ・スミスクライン株式会社 研究本部 筑波研究所 薬理研究部
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要約: ラミブジン(商品名;ゼフィックス(R)錠100,(‐)‐1‐[(2R,5S)‐2‐hydroxymethyl‐1,3‐oxathiolan‐5‐yl]cytosine)は,デオキシシチジン誘導体であり,B型肝炎ウイルス(HBV)の複製を阻害する抗ウイルス薬である.ラミブジンは,生体内のリン酸化酵素で三リン酸化体に変換された後,HBV‐DNAポリメラーゼによりウイルスDNAに取り込まれ,ウイルスDNAの伸長を停止させることで抗ウイルス活性を発揮する.HBV‐DNAが組み込まれた肝細胞を用いたin vitro試験において,0.01‐0.116 μMの濃度で50%のウイルス産生を抑制する事が証明された.また,HBV感染マウスモデル(Trimeraマウス)において,血清中のHBV‐DNAレベルが,無処置群に比較し,ラミブジン投与群で減少することが観察された.更に,臨床試験において,血清中のHBV‐DNAおよび肝壊死・炎症活動性および線維化の進行抑制等の高い有効性を示し,長期投与においても有害事象の発生はプラセボ投与群と差が認められないという高い安全性が認められた.ラミブジン耐性ウイルスの出現が臨床試験において報告されているが,そのウイルスは野生株に比較し増殖能が弱い事が確かめられている.以上の事より,ラミブジンはウイルス増殖が認められるB型慢性肝炎患者に有用であることが確かめられ,現在本邦をはじめとして幅広く世界中で使用されている.

キーワード:
B型肝炎ウイルス,ラミブジン,抗HBV薬

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