日薬理誌 120 (3), 187-194 (2002)


新医薬品承認申請において必要とされる薬理学の役割

西村(鈴木)多美子1),豊島  聰2),宇山 佳明2),山田 博章2)細木るみこ2),藤森観之助1),長尾  拓3)


1)医薬品機構・治験指導部
(〒100‐0013 千代田区霞ヶ関3‐3‐2 新霞ヶ関ビル8階)
2)国立医薬品食品衛生研究所・審査センター
(〒105‐8409 港区虎ノ門3‐8‐21 虎ノ門33森ビル10階)
3)国立医薬品食品衛生研究所
(〒158‐8501 世田谷区上用賀1‐18‐1)
e‐mail: nishimura@kiko.go.jp


要約: 医療用新医薬品(新医薬品)の承認審査は,平成9年に医薬品医療機器審査センター(審査センター)が設立されてから医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(医薬品機構),審査センター,厚生労働省医薬局審査管理課でそれぞれ役割を分担し,科学的な判断に基づく承認審査が進められている.国内外での新医薬品開発における規制当局側のサポートあるいは審査体制が整備されている中,トランスレーショナルリサーチの重要性が提言されはじめている.申請資料には,非臨床試験データと臨床試験データが求められるが,臨床での有効性及び安全性の評価の際には,非臨床試験のデータによる裏付けも重要であり,リスク・アンド・ベネフィットを考慮して承認の可否が判断される.そこで,新医薬品承認申請において必要とされる薬理学の役割について,レギュラトリーサイエンスの観点に立って,1)開発中の治験相談の立場から,2)申請後の承認審査の立場から,3)安全性薬理ガイドラインの立場から,及び,4)基礎薬理学の立場から,最近の承認審査に関わる薬理学の役割,基礎研究との関連性等について個人的意見を述べる.


キーワード: 創薬,承認審査,有効性と安全性,作用機序,レギュラトリーサイエンス

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