日薬理誌 111 (3), 167-175 (1998)


新規抗潰瘍薬ラフチジンのラットにおける酢酸胃潰瘍治癒および再発に対する効果

小野寺禎良,田中 正人,青山   操,荒井 洋子, 柴田 昌裕,山浦  哲明,大西 治夫


富士レビオ(株)医薬研究所
〒192 東京都八王子市小宮町51


要約: 再発・再燃を繰り返す潰瘍モデルとして報告されているラット酢酸胃潰瘍モデルを用いて新規抗潰瘍薬ラフチジン(FRG-8813, (±)-2-(furfurylsulfinyl)-N-[4-[4-(piperidinomethyl)-
2-pyridyl]oxy-(Z)-2-butenyl]acetamide)の効果を検討した.ラフチジン10 mg/kgの10日間1日2回経口投与により潰瘍面積の縮小が認められたが,同等の胃酸分泌抑制作用を示す用量であるファモチジン1 mg/kgおよびシメチジン30 mg/kgでは有意な作用は認められなかった.次に,内視鏡による経時的な観察により酢酸胃潰瘍の治癒および再発に対する効果をラフチジン3 mg/kg,ファモチジン1 mg/kgおよびシメチジン30 mg/kgを潰瘍作製1週後より12週後まで1日2回経口投与により検討した.ラフチジン投与群およびファモチジン投与群では治癒は促進されたが,シメチジン投与群では効果は認められなかった.また,ラフチジン投与群では対象群と比較して治癒後の再発が減少したが,ファモチジン投与群およびシメチジン投与群では差は認められなかった.病理組織学標本の観察の結果, ラフチジン投与群では他の群と比較して再生粘膜の固有層に対する細胞浸潤が軽度であった.以上の結果より,ラフチジンは潰瘍の治癒を促進し,炎症細胞浸潤を抑制することにより再発を抑制するものと考えられる.


キーワード: ラフチジン, 酢酸潰瘍, 再発, 内視鏡, 炎症細胞浸潤

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