日薬理誌 112 (4), 267-274 (1998)


選択的ホスホジエステラーゼ。阻害剤アムリノンによる

ラット頸動脈新生内膜肥厚抑制作用

蜂須 貢,野村美佐子,藤島 和幸

明治製菓(株)薬品総合研究所
〒222-8567 神奈川県横浜市港北区師岡町760

要約: アムリノン (5-amino (3,4'-bipyridin)-6(1H)-one) は選択的ホスホジエステラーゼ。阻害剤であり,強心性血管拡張剤として臨床で用いられている.我々は,ラットの頸動脈バルーン擦過モデルを用いて,バルーン傷害後の血管壁新生内膜肥厚に対するアムリノンの作用を検討した.また,作用メカニズムについても併せて検討し,以下の結果を得た.アムリノンは10 mg/kg/day,14 日間連続皮下投与で頸動脈の血管壁傷害後の新生内膜肥厚を有意に抑制したが,投与期間を4日間に短縮した場合は有意な抑制を示さなかった.アムリノンはアデノシン2リン酸(ADP)で惹起されるラット血小板凝集に対してin vitro の検討では濃度依存的な抑制作用を示し,ex vivo の検討では10 mg/kg, 単回皮下投与で有意な抑制作用を示した.ヒト大動脈血管平滑筋細胞を牛胎児血清または血小板由来増殖因子で増殖刺激した条件下において,アムリノンは細胞の増殖を抑制した.以上の結果から,アムリノンは血小板凝集抑制作用と平滑筋細胞増殖抑制作用を持つことによって,血管壁傷害後の新生内膜の肥厚を抑制すると考えられる.

キーワード:アムリノン,ホスホジエステラーゼ。阻害剤,新生内膜肥厚,ヒト大動脈血管平滑筋細胞,ラット


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