日薬理誌 112 (5), 315-321 (1998)


新規インドール誘導体KW-8232の卵巣摘除ラットの骨代謝に対する作用

内井 雅子,高嶋みゆき,杉山 朋美,小坂 信夫


協和発酵工業(株)医薬総合研究所探索研究所
〒411-8731 静岡県駿東郡長泉町下土狩1188

要約: 閉経後骨粗鬆症モデルである卵巣摘除ラットの骨代謝に対するKW-8232の作用を6週間の経口投与で検討した.KW-8232は,卵巣摘除による大腿骨および脛骨の骨密度低下を 1 mg/kgから有意に抑制した.卵巣摘除によって,骨代謝の高回転型マーカーである血清アルカリホスファターゼおよびオステオカルシン濃度は上昇し, また,骨吸収のマーカーである尿中ヒドロキシプロリン,ピリジノリンおよびデオキシピリジノリン排泄も増加した.KW-8232は,血清アルカリホスファターゼ濃度の上昇を10 mg/Kg以上で抑制し, 血清オステオカルシン濃度の上昇には3 mg/kgで有意に抑制した.一方,KW-8232は尿中ヒドロキシプロリン,ピリジノリンおよびデオキシピリジノリン排泄の増加をl mg/kgでも著明に抑制した.KW-8232は血清カルシウム濃度には影響しなかったが,尿中カルシウム排泄に対しては10 mg/kg以上で有意に抑制した.以上の結果から,卵巣摘除により骨代謝の高回転が骨量低下の成因の一つであり,KW-8282は骨吸収を強く抑制することによって,骨量低下を抑制することが示唆された.


キーワード: KW-8232,卵巣摘除,ラット,骨代謝,骨吸収

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