日薬理誌 112 (5), 323-331 (1998)


タウロコール酸/塩酸誘発性胃粘膜傷害に対するテプレノン及びゲファルネートの抑制作用

加藤 義則,田中 衛,川島 英敏

エーザイ(株)薬物応用研究部
〒112-8088 東京都文京区小石川4-6-10

要約: 急性胃炎のモデルとして,タウロコール酸と塩酸で誘発した急性胃粘膜傷害モデルを用い,テプレノンの急性胃粘膜傷害抑制作用をゲファルネートと比較した.タウロコール酸160 mMおよび塩酸250 mMの溶液をラットに経口投与することにより,胃粘膜表層における出血および糜爛が起こり,粘膜下織の浮腫および粘膜表層のPAS染色性も低下した.前記の肉眼的所見の変化に対して,テプレノンは50 mg/kg以上の用量で,有意な胃底腺部粘膜傷害の改善を示した.一方,ゲファルネートは50mg/kgで抑制傾向を,200 mg/kgで有意な抑制を示した.組織形態学的所見における糜爛に対してテプレノン50 mg/kgで抑制傾向を,同部位のPAS反応性低下に対して同薬は50および200 mg/kgで有意な抑制および抑制傾向を示し, ゲファルネート両群も有意な抑制を示した.しかし. 幽門部粘膜のPAS反応性低下に対して,ゲファルネート群では対照群と変わらなかったが,テプレノン群では抑制傾向を示した.

キーワード: 急性胃粘膜傷害, 組織形態学的所見,赤色斑,糜爛,PAS反応性

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