日薬理誌 113 (4), 261-267 (1999)


腎微小循環

玉置俊晃、吉栖正典

徳島大学医学部薬理学講座
〒770-8503 徳島市蔵本町3-18-15

要約: 腎血管は、栄養血管というより機能血管としての役割が大きく、腎循環と尿生成は密接な関係を持つ。腎臓は、多量の血液供給を受け糸球体濾過・再吸収をおこなう課程で、生体の水・電解質バランスを維持している。糸球体濾過は、主に糸球体血行動態により調節されており、糸球体の前後に位置する2つの細動脈、輸入細動脈および輸出細動脈、により主に調節されている。この2つの細動脈は形態的に異なるのみならず機能的な差が存在する。従って、腎循環調節機構を解明するには両細動脈の機能および性格を明らかにする必要がある。このため、各種の腎微小循環研究方法が開発されて、細動脈レベルでの腎微小循環調節機序の解明が進んでいる。本総説では、1)腎循環の特徴、2)腎微小循環研究方法、3)アンジオテンシンII の腎微小循環に対する作用、4)これからの課題 について概説した。

キーワード: 腎微小循環、輸入細動脈、輸出細動脈、アンジオテンシンII

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