ヒスタミンH1受容体のリガンド認識と受容体活性化機構
福井 裕行 (1),大田 和美 (2),山本 大助 (3)
(1) 徳島大学薬学部薬物学教室
〒770-8505 徳島市庄町1-78-1
(2) 大阪医科大学小児科学教室
(3) 同医学情報処理センター
〒569-8686 高槻市大学町2-7
要約: H1受容体のヒスタミン結合に関与する5つのアミノ酸残基を同定した.
部位特異的変異受容体の性質の検討と受容体モデリングを組み合わせる方法はこの研究の目的の
達成に非常に有効であった.H1受容体にはヒスタミンとの非結合および結合に応じて不活化状態
および活性化状態が存在し,ヒスタミンの結合により第V膜貫通領域のalpha-ヘリクスの捻れの
弛むことが活性化状態へ移行するという機構を提唱したい.H1受容体のヒスタミン結合部位は
リガンドの親和性に関与する部位と受容体の構造変化と活性化に直接関わる部位とに分かれた.
そして,H1拮抗薬はH1受容体のヒスタミン結合部位のうちリガンドの親和性に関与する部位に
おいてヒスタミンと拮抗する。H1受容体のリガンド結合様式はbeta2‐アドレナリン受容体,
ヒスタミンH2受容体のそれとは異なった。
キーワード: ヒスタミンH1受容体, Site-directed mutagenesis,
モデリング, 作動薬, 拮抗薬
日本薬理学雑誌のページへ戻る