日薬理誌 113 (6), 349-356 (1999)


ESRを用いた薬物間相互作用の検出

坂上宏 (1)、佐藤和恵 (2)

(1) 明海大学歯学部歯科薬理学講座
〒350-0283 埼玉県坂戸市けやき台1-1
(2) 昭和大学薬学部分析センター
〒142-8555 東京都品川区旗の台1-5-8

要約: ビタミンC、没食子酸、ドパミンは、ヒト前骨髄性白血病HL-60細胞にアポトーシス(ヌクレオソーム単位のDNAの断片化、核膜周辺でのクロマチンの凝集、微絨毛の消失)を誘導する。ESRスペクトル解析により、これら化合物の誘導体のラジカル強度とアポトーシス誘導活性との間には、正の相関関係があることが判明した。ビタミンCと没食子酸とを混合すると、没食子酸の細胞障害活性とラジカル強度は、1桁ないし2桁低い濃度のビタミンCにより消去され、ビタミンCが支配的であった。ビタミンCとドパミンとを混合すると、これらの物質のラジカル強度とアポトーシス誘導活性とはいずれも干渉し合った。これに対して、各種リグニンは、ビタミンCのラジカル強度とアポトーシス誘導活性を、いずれも増強した。ESRスペクトル解析は、薬物間相互作用の検出に有用であると思われる.

キーワード: ESR、ラジカル、アポトーシス、ビタミンC、薬物間相互作用

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