日薬理誌 114 (1), 3-11 (1999)


シグマ受容体リガンドの開発と臨床応用

鍋島 俊隆、 村岡 勲

名古屋大学医学部医療薬学・附属病院薬剤部
〒466-8560 名古屋市昭和区鶴舞町65番地

要約: シグマ受容体は大きくシグマ1とシグマ2のサブタイプに分けることができる。最近になりシグマ1受容体が種々の種においてクローニングされた。この受容体のアミノ酸配列は種間ではよい相同性を示すが、既存の哺乳類のタンパク質とは相同性を示さないので、この受容体は、知られている他のいかなる受容体とも異なっている非常にユニークな受容体である。シグマ受容体は多彩な生理作用に係わっている。従って、シグマ受容体リガンドは、グルコースの利用、神経保護作用、抗精神病作用、抗うつ作用、抗不安作用、抗痴呆作用、抗けいれん作用、薬物依存拮抗作用、鎮咳作用、止瀉作用、抗炎症作用、涙液タンパク放出刺激作用、中枢性排尿反射抑制作用などを示す。これらの結果から、シグマ受容体は新規作用機序を持つ新薬開発のターゲットとして有望である。

キーワード: シグマ受容体、分裂病治療薬、抗うつ薬

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