鎮咳作用、抗潰瘍作用などを中心として
亀井 淳三
星薬科大学医療薬学第2研究室
〒142-8501 東京都品川区荏原2−4−41
要約: sigma受容体リガンドが強い鎮咳作用を持っており、sigma受容体が中枢性非麻薬性鎮咳薬の作用に重要な役割を果たしている可能性が考えられている。sigma受容体リガンドが抗潰瘍作用を示し、sigma受容体リガンドによる抗潰瘍作用はsigma受容体を介した重炭酸塩の分泌亢進作用が主な作用機序であると考えられている。sigma受容体リガンドが網膜細胞に対する興奮性アミノ酸誘発細胞毒性に対する抑制作用を持つことから、sigma受容体特にsigma1受容体作動薬が網膜動脈の閉塞、糖尿病性網膜症、加齢性黄班変性、網膜血色素異常、緑内障などの病態時にみられる網膜の虚血による細胞障害の治療薬になる可能性が考えられている。本稿では、これらsigma受容体リガンドの鎮咳、抗潰瘍および網膜細胞に対する作用についてまとめた。
キーワード: sigma受容体リガンド、鎮咳効果、抗潰瘍作用、網膜
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