RIKEN-MIT
Neuroscience Research Centerd |
Massachusetts
Avenue Cambridge02139MA U.S.A (林康紀) |
2000年9月より理研-MIT 神経科学研究センターの一部門を任され2年間経ちます.これは理化学研究所脳科学総合研究センターが米国ボストンのマサチューセッツ工科大学の中に設けた講座で,理化学研究所の一部門ともなります. このセンターは利根川進教授により率いられており,その他Guosong Liu,Earl Miller,Morgan Sheng,Mathew Wilson が名を連ねています.国の機関である理化学研究所がなぜ海外に研究費を出しているのか不思議に思われる向きもあるかと思いますが,脳科学総合研究センターを国際的にしたいという伊藤正男所長の理念を実現するのが一つの理由です. 海外の研究室には珍しく,日本薬理学会会員が2名います.研究室の中心課題は,海馬CA1領域の長期増強現象(LTP)における分子機構です.我々のこれまでの研究からLTP に伴いAMPA 型グルタミン酸受容体がシナプスへ移行する事によりシナプス伝達の効率が変化している事が判ってきました. またさらにシナプスは静的な物ではなく非常に動的なもので,刺激に応じて分子組成や構造が変化したりするという事も判ってきました.現在はグルタミン酸受容体の移行に必要な分子機構は何か,より一般にシナプス後部の分子の組成がシナプス活動によりどのように調節されているかです. この目的のため,電気生理学的な記録によるグルタミン酸受容体のシナプスへの移行を検出し,また二光子顕微鏡とFRET によりシナプスでの蛋白の相互作用並びに活性化状態を検出する事を試みています. 将来的には,FRET による機能プローブを用いて動物個体での学習課題遂行下でのシナプス可塑性を検出していきたいと考えています.一方,全くの偶然から運動ニューロン特異的に発現している新規NMDA 受容体サブユニットNR3B を同定し,運動ニューロン疾患への関与を調べております. 2003年3月福岡での第76回薬理学会ではシンポジウムをオーガナイズさせて頂く事になりました.研究の一端を紹介させて頂きますので,御指導・御鞭撻頂きますと共に,若い薬理学研究者に私の研究に興味を持って頂く事を望んでおります. Yasunori Hayashi, 林康紀 (e-mail: yhayashi@mit.edu) RIKEN-MIT Neuroscience Research Center,
Picower Center for Learning and Memory,
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