日薬理誌 116 (1), 4-11 (2000)


薬理学研究における生物統計学の役割―ランダム化と統計的評価―

浜田知久馬 (1)、小野 英樹 (2)

(1) 京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻薬剤疫学教室
〒606-8501 京都市左京区吉田近衛町
(2) エーザイ(株)研開試験監理部QCR室
〒300-2635 つくば市東光台5-1-3

要約: 薬理学研究を計画する段階と,得られた実験結果を評価する段階の双方で,生物統計学は重要な役割を果たす.実験計画において特に重要なプロセスは,ランダム化である.ランダム化の目的は,系統誤差を偶然誤差に転化することによって,群間の比較可能性を保証することである.またランダム化によって,統計学的な検定を適用するための土俵が与えられる.このランダム化と局所管理,マスク化を組み合わせることによって,科学的に最も水準が高く,かつ効率的な実験が可能になる.ランダム化の方法によって,適切な解析手法は異なり,実験デザインと,解析方法はリンクしたものである.薬理学研究を成功させるためには,計画段階で統計学的な考慮を十分行う必要がある.

キーワード: ランダム化, 試験デザイン, 局所管理, 統計的評価, 並べ替え検定

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