日薬理誌 116 (1), 12-17 (2000)


薬効薬理試験の信頼性向上に役立つ統計学的考え方

小宮山 靖,平田篤由,半田 淳

日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 統計特別小委員会
〒103-0023 東京都中央区日本橋本町3-4-1 トリイ日本橋ビル

要約: 薬効薬理試験から得られる情報は,薬の性質を語るときに推論の根拠を与えるものであり,医薬品開発の最初の関門である人への投与を決定する際にも重要な根拠となるものであるため,科学的な客観性の高い情報が求められている.実験計画法の考え方を導入して結果に影響を与える変動因子群を予め管理し,例数設計に基づく検証的な試験を実施することにより,信頼性の高い情報が効率よく得られるようになる.これは試験の進め方の再考であって,今まで行われてきた試験に追加して検証的な試験を行うことを求めているのではない.統計学はデータを収集した後の推定や検定の手段だけではなく,予備実験の方法,試験の計画に大きく貢献できるはずである.ある意味で臨床試験よりも完全な実験が行える非臨床試験こそ,早い段階からの生物統計家との共同作業が必要であると考えられる.

キーワード: 薬効薬理試験, 統計学, 実験計画法, 検証

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