日薬理誌 116 (1), 18-22 (2000)


薬効薬理試験の試験計画書作成に関する統計的留意事項

山田 雅之、橋本 敏夫、前田  博

日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 統計特別小委員会
〒103-0023 東京都中央区日本橋本町3-4-1 トリイ日本橋ビル


要約: 医薬品を科学的な根拠に基づいて開発するためには,試験を適切にデザインし,計画に従ってデータの収集および解析を実施し,正確に報告することが重要である.薬効薬理試験においても,試験を科学的に実施し,その結果を客観的に評価することが重要となる.そのための一つの手段として統計解析が利用されているが,その利用に問題のある場合も指摘されている.そこで本総説では,薬効薬理試験の試験計画を立案し,試験実施に対し十分な情報を含んだ試験計画書を作成するにあたって,必要と考えられる統計的留意事項を示した.ただし,本総説で示す統計的留意事項は,全ての薬効薬理試験に画一的に適応されるものではなく,試験において必要とされる統計的な裏付けの強さにより適宜適応範囲を決定されるべきものである.本総説で示した統計的留意事項としては,試験計画立案時の留意事項として,「試験目的の明確化」,「評価項目・評価指標の選択」,「作業仮説の設定」,「統計解析手法の選択」,「試験デザインに関する検討」,「統計解析方法の記載に関する留意事項」の6項目を挙げた.これらの留意事項に配慮し,適切な試験計画を立てることによって,より信頼性の高い結論を得ることが可能になると考える.

キーワード: 薬効薬理試験, 試験計画書, 統計学, 試験デザイン, 統計的留意事項

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