日薬理誌 116 (1), 23-28 (2000)


薬効薬理試験の試験報告書作成に関する統計的留意事項

橋本 敏夫、山田 雅之、前田  博

日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 統計特別小委員会
〒103-0023 東京都中央区日本橋本町3-4-1 トリイ日本橋ビル


要約: 医薬品を科学的な根拠に基づいて開発するためには,試験計画書に従ってデータの収集および解析を実施し,正確に報告することが重要である.本総説では,薬効薬理試験の試験報告書作成における統計的留意事項として5項目をあげた.1. 統計解析方法の記載の項に,使用した統計解析手法を具体的に記載することの必要性を示した.2. 解析対象の記載の項に,解析に含めなかった個体数とその理由,および処置群間の比較可能性に関する記載の必要性を示した.3. 図表作成の項に,データの特徴,例数,統計解析手法などの十分な統計的情報を含める必要性を示した.4. 結果・考察の表現を含めた全般的留意事項の項には,使用する統計解析手法の特性を十分に把握した上で薬理学的な結論を導くことの重要性,および試験結果に関する情報の活用のために重要と考えられる統計的留意事項を示した.5. 複数の試験報告書をまとめて新たな報告書を作成する上での留意事項の項に,複数の試験結果をまとめて総合的に考察する場合に考慮すべき事項を示した.これらの留意事項に配慮し,適切な試験報告書を作成することによって,より信頼性の高い結論を得ることが可能になると考える.

キーワード: 薬効薬理試験, 試験報告書, 報告書作成, 統計的留意事項, 統計学

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