日薬理誌 116 (1), 29-35 (2000)


薬理学研究における悉無応答型試験のモデルと推測

河合統介 (1),後藤昌司 (2)

(1) 山之内製薬(株) 臨床推進部 統計DMグループ
〒174-8612 東京都板橋区蓮根3-17-1
(2) 大阪大学 大学院基礎工学研究科 情報数理系専攻 統計数理講座
〒560-8531 豊中市待兼山町1-3

要約: 悉無応答型生物試験とは,生物にある医薬品あるいは化合物を与えたときに惹き起こされる悉無反応によって,その物質(あるいは過程)の特性,組成あるいは効力を推測する実験をいう.例えば,医薬品開発における生物試験の主要な目的は,所与の標準薬に対する新しい化合物の相対的な効力を生体反応に及ぼすそれらの影響の大きさに基づいて測定することである.そして,薬理作用の強さに関する定量的な評価は,それらの用量・反応曲線の比較に集約される.本稿では,悉無応答を伴う2つの用量・反応曲線の比較を意図した解析に焦点をあて,モデルの妥当性診断とあてはめ結果の解釈を中心に統計的観点から考察する.

キーワード: 悉無応答データ, 用量・反応曲線, 説明変動, 非対称ベキ変換モデル, 階層仮説

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