日薬理誌 116 (3), 133-140 (2000)


核内レセプターを介した情報伝達機構

加藤 茂明

東京大学分子細胞生物学研究所 / CREST, 科学技術振興事業団
〒113-0032 東京都文京区弥生1-1-1

要約: 脂溶性ビタミンA.D,ステロイド,甲状腺ホルモン,エイコサノイド等の低分子量脂溶性生理活性物質は,核内レセプターのリガンドとして働くことが知られている.核内レセプターは1つの遺伝子スーパーファミリーを形成するリガンド誘導性転写制御因子である.そのためこれらリガンドの生理作用は,核内レセプターを介した遺伝子発現調節により,その作用を発揮する.核内レセプターは,リガンド結合に伴い転写共役制御因子(コリプリッサー)の解離と転写共役活性化因子(コアクチベーター)の会合が起こる.これら転写共役因子群は複合体を形成しており,クロマチン上のヒストンのアセチル化を制御することで,リガンド依存的に転写を制御する.これら最近の動向を概観するとともに,我々の知見についても述べたい.

キーワード: ステロイドホルモン, 脂溶性リガンド, 核内レセプター, 転写制御, 転写共役因子

日本薬理学雑誌のページへ戻る