日薬理誌 116 (3), 181-187 (2000)


末梢組織での無麻酔・無拘束マイクロダイアリシス法

倉田 知光

昭和大学医学部第二薬理学教室
〒142-8555 東京都品川区旗の台1-5-8

要約: マイクロダイアリシス法は,微小透析プローブの一部に備えられた半透膜を介して単純拡散により膜内部に移行してきた物質を連続的に回収する方法である.本稿では,末梢臓器・組織でのマイクロダイアリシス法,特に我々が開発してきた無麻酔・無拘束下での検討について概説する.末梢臓器・組織での検討は,主に肝臓,皮下組織,眼球および血中の4部位に関して行なってきた.血中薬物動態の検討には,2種類の微小透析プローブを作成し,連続的にかつ長時間の検討を可能にしてきた.また,同時に,プローブから直接静脈内に薬物投与が行なえるように薬物注入用チューブを備えた物も開発し,プローブ留置後は実験動物に全く触れることなく薬物の投与および血中薬物動態の検討を可能にした.一方,末梢臓器用のプローブを用いた検討では,これまで,各時点で屠殺しなければならず,連続的な検討が困難であった1個体での臓器内薬物動態の検討を,無麻酔・無拘束下で長時間連続的に検討することを可能にした.さらに,末梢臓器用のプローブに若干の修飾を加え,眼球内への薬物移行性に関する検討も行なった.
紙面の都合上詳細なデータは割愛し,本稿では主に実験の手技に関して述べる.

キーワード: マイクロダイアリシス法, 無麻酔・無拘束, 末梢組織, 薬物動態, 薬力学

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