HIVプロテアーゼ阻害薬アンプレナビル(プローゼRカプセル)の薬理学的特性と臨床効果
石澤 優1),小松 英忠2)
1)キッセイ薬品工業株式会社医薬企画部
〒103‐0022 東京都中央区日本橋室町1‐8‐9
e‐mail: masaru_ishizawa@pharm.kissei.co.jp
2)キッセイ薬品工業株式会社開発企画部
〒399‐8710 松本市芳野19‐48
要約: アンプレナビル(プローゼRカプセル)は,HIVプロテアーゼ阻害薬で米国の臨床試験においてその有効性が証明され,1999年に承認された.本邦においても同年9月に承認されている(キッセイ薬品工業株式会社より10月に発売).本剤は,通常成人にはアンプレナビルとして1回1200 mg(8カプセル)を1日2回,他の抗HIV薬との併用により経口投与される.本剤は食事とともにあるいは食事とは別に服用は可能であるが,高脂肪食との併用は避ける.アンプレナビルによる薬剤耐性発現についてはHIV‐1プロテアーゼ遺伝子の主にI50V,M46I/L,I47V,I54L/V,およびI84Vの位置でアミノ酸置換を伴う突然変異が認められている.これは,他のプロテアーゼ阻害薬と変異発現のパターンが異なることから,薬剤の切り替え等において本剤はHIV治療の選択肢を広げ,治療に貢献する薬剤となり得る.アンプレナビルは薬物代謝酵素のCYP3A4により代謝されるため,CYP3A4の基質,阻害薬あるいは誘導体,又はCYP3A4で代謝される薬剤と相互作用を生じる可能性があり,他剤との併用には注意が必要である.アンプレナビルは本邦では5成分目のプロテアーゼ阻害薬であるが,他剤との違い,特性を理解した上での使用が,本剤の有用性を高める上で重要と考えられる.
キーワード: アンプレナビル,プローゼ,プロテアーゼ阻害薬,薬剤耐性,相互作用
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