日薬理誌 120 (2), 85-90 (2002)


アンチセンスBNAオリゴヌクレオチドを用いた遺伝子発現抑制

今西  武,小比賀 聡

大阪大学大学院薬学研究科
〒565‐0871 吹田市山田丘1‐6
e‐mail: imanishi@phs.osaka‐u.ac.jp


要約: 標的とする一本鎖RNAに対して,現在世界で最も強固に結合するオリゴヌクレオチド,それが我々の開発したBridged Nucleic Acid(BNA)である.本稿では,このBNAを用いたアンチセンス研究の一例として,C型肝炎ウイルス(HCV)のInternal Ribosomal Entry Site(IRES)を標的とした実験結果を取り上げた.BNAオリゴヌクレオチドは,現在アンチセンス分子として広く用いられているホスホロチオエート型オリゴヌクレオチド(S‐oligo)に見られる非特異的な遺伝子発現抑制効果が少なく,標的とする遺伝子の発現のみを効果的に抑制する.さらに,BNAオリゴヌクレオチドを用いることにより,従来アンチセンス法を実施する際に大きな障害となっていた「標的配列の選択」という問題をも解消できるのではないかという興味深い知見が得られたので併せて紹介する.


キーワード: アンチセンス法,オリゴヌクレオチド類縁体,BNA,C型肝炎ウイルス,遺伝子発現抑制

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