日薬理誌 114 (3), 126-130 (1999)


ヒトゲノム解析計画と21世紀の医療

中村祐輔

東京大学医科学研究所・ヒトゲノム解析センター

〒108-8639 東京都港区白金台4-6-1

要約: われわれの「生命の設計図」に相当する「ヒトゲノム」解析研究が進められている.その成果はわれわれの生活,とりわけ,医療分野に計り知れない影響をおよぼす研究である.病気の発症には遺伝的要因と後天的な環境要因が複雑に関与するが,程度の差はあるもののほとんどの病気には遺伝的な要因が関係している.したがって,ゲノム研究により病気を起こす仕組みが明らかにされれば,それらの情報を手がかりに,画期的な治療薬・診断法などが開発されるであろうし,生活スタイルに気をつけて病気を防ぐことも可能となる.ゲノム研究により病気の理解が進むことにより,21世紀の医療がどう変革するかを紹介したい.

キーワード: ゲノム研究,DNAチップ,マイクロアレー,SNP,オーダーメイド医療

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