森 泰生 (1),岡田 峯陽 (1),清水 俊一 (1,2)
(1)岡崎国立共同研究機構生理学研究所
〒444-8585 愛知県岡崎市明大寺町西郷中
(2)昭和大学薬学部病態生理学教室
〒142-8555 東京都品川区旗の台1-5-8
要約: Gタンパク共役型受容体やチロシンキナーゼ型受容体の活性化により惹起される,イノシトールリン脂質(phosphoinositide:
PI)応答と連関した,一群のCa2+透過性チャネルが存在する.これら受容体活性化Ca2+チャネル(receptor‐activated
Ca2+ channel; RACC)は生理的に最も重要なCa2+流入経路の一つであり,活性化機構においても,Ca2+透過性の程度においても非常に多様である.RACC群のなかでは,細胞内Ca2+ストアである小胞体(endoplasmic
reticulum: ER)の枯渇により活性化される,容量性Ca2+流入が詳細に調べられてきた.また,近年RACCの分子的実体であると論じられてきたTRP(transient
receptor potential)タンパク質の機能に関しても,組み換え発現系と変異ショウジョウバエ光受容体を用いることにより,多くのことが明らかになってきた.しかしながら,RACCは依然として明かすべき謎の多いイオンチャネルである.本総説においては,容量性Ca2+流入とTRPタンパク質という2つのトピックス,およびそれらの間の関係を中心に,我々が関与してきたRACC研究の最近の展開を記述したい.
キーワード: 受容体活性化Ca2+チャネル, 容量性Ca2+流入,
細胞内Ca2+ストア, ホスファチジルイノシトール応答
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