事業計画

事業計画(令和8年度)

Ⅲ.令和8年度事業計画

 薬理学は、生体と薬物を含む生体内外の化学物質との関わりを、個体から分子に至るレベルで明らかにする学問であり、薬理学によって生体の理解が進み,それが新たな薬理学を創るというサイクルが回ることで,生命の仕組みの解明や創薬,薬物治療の発展に貢献してきました.日本薬理学会はこの考えに沿った様々な活動を行っており,今後もこの姿勢を継承してまいります.


 さて,日本薬理学会は1927年4月1日に設立されており,1年後の2027年に設立100周年を迎えるにあたり,設立100周年記念事業を準備し,一部はすでに実施中です.今年は第2回日本薬理学会100周年記念博士研究奨励賞への応募を受け付け,第99回日本薬理学会年会(若森実 年会長,2026年3月16~18日,東北大学川内キャンパス)において受賞記念講演会および表彰式を開催する予定です.本記念事業が,これまでの100年を振り返り,次の100年に向けた未来志向の議論を深める機会となることを願っております.


 本会の重要な活動として,学術誌の出版事業があります.オープンアクセス化されている英文誌(JPS)はインパクトファクターの良好な水準を維持しており,引き続きJPSのステータス向上を期待しています.日薬理誌は会誌としての機能に加え,学術的価値の高い優れた総説等を掲載しています.出版から1年後には会員以外の無料閲覧も可能にしています.両誌とも学術面での社会貢献の意義が大きく,今後も有用な情報発信を継続していくことが望まれます.


 年会,地方部会,市民公開講座,次世代薬理学セミナー,看護薬理学カンファレンス等は,本会の目的を達成するための最も重要な事業です.国内外の関連学会との連携・協力を通じて薬理学の進歩を図り,社会に貢献することも,本会にとって最重要な活動です.これらの学術活動にご尽力いただいている皆様に,心より感謝申し上げますとともに,引き続き,ご協力とご支援をお願い申し上げます.


 一方,財政面では依然として不安定であり,持続可能な学会運営への移行が求められています.また,2025年4月に施行されました改正公益法人法への対応にも努めてまいります.
 本会のさらなる発展を目指すため,今後とも本会の活動にご理解とご協力を賜りますよう,よろしくお願い申し上げます.

理事長 橋本 均

1 薬理学研究の進展及び薬理学研究者育成のための学術集会及び講演会等の開催事業(公益目的事業1)

(1) 年会の開催

・第99回 日本薬理学会年会   年会長:若森 実(東北大・院歯)
           2026年3月16-18日 東北大学川内キャンパス(宮城県)

(2) 地方部会の開催 

6 回の地方部会を開催する.

・第149回 日本薬理学会近畿部会 部会長:土屋浩一郎(徳島大学・院医歯薬)
2026年6月20日 徳島大学蔵本キャンパス(徳島県)

・第154回 日本薬理学会関東部会 部会長:石塚 俊晶(防衛医科大学・医)
2026年6月27日 オンライン開催

・第 79回 日本薬理学会西南部会 部会長:和田孝一郎(島根大学・医)
2026年10月24日  松江テルサ(島根県)

・第155回 日本薬理学会関東部会 部会長:堀  正敏(東京大学・院農)
2026年10月31日 東京大学農学部キャンパス(東京都)

・第 77回 日本薬理学会北部会  部会長:山脇 英之(北里大学・獣医)
2026年10月31日-11月1日 北里大学獣医学部十和田キャンパス(青森県)

・第150回 日本薬理学会近畿部会 部会長:西村 有平(三重大・院医)
2026年11月14日  アストプラザ(三重県)

(3) 市民公開講座の開催

科学的で正確な薬理学的知識に基づいて,薬物に関する正しい知識を国民に対して広めることおよび薬理学の社会的重要性を国民に広く知ってもらうための啓発活動の一環として,地方部会等と連動して市民公開講座を開催する.第99回年会,第150回近畿部会,第79回西南部会の計3回の開催を予定している.

 (4) 次世代薬理学セミナーの開催

日本の薬理学研究の活性化および国際プレゼンスの向上のため,意欲と能力のある若手を育成し,学会活動への積極的な参画を促すため,若手研究者による若手研究者を対象の次世代薬理学セミナーを開催する.Web配信により全会員が無料で視聴できる.第155回関東部会,第77回北部会に合わせて計2回の開催を予定している.

 (5) 看護薬理学カンファレンスの開催

会員数の少ない領域(保健学・看護系大学あるいは医療機関における教育研究者や看護識者など)に対し,薬理学会との交流の機会を提供し,同時に本会の若手会員のキャリア開発を支援することにより,薬理学教育・研究の益々の発展に資する企画として地方部会等と協力し,看護薬理学カンファレンスを開催する.第99回年会,第155回関東部会に合わせて計2回の開催を予定している.

 

2 薬理学に関する学理及び応用の研究についての知識の普及を目的とし,学会誌等を刊行する事業(公益目的 事業2)

 (1) Journal of Pharmacological Sciences を全面電子体のオープンアクセス誌として刊行する.

・2026年刊行予定:160巻1~4号,161巻1~4号,162巻1~4号

 (2) 日本薬理学雑誌(くすりとからだ/ファーマコロジカ)の刊行

・2026年刊行予定:161巻1~6号 計6冊

3 優れた業績をあげた研究者の表彰及び研究の一層の飛躍を期待した研究奨励のために,各賞を設置し,研究 者と研究業績を表彰する事業(公益目的事業3)

 (1) 江橋節郎賞

日本薬理学会名誉会員故江橋節郎先生の生命科学への貢献を末永く顕彰するため,江橋節郎賞を創設し,薬理学の進歩に貢 献した研究者に授与している.

・第 19 回江橋節郎賞受賞者の受賞講演は,第 99回年会会期中(2026年3月16日,仙台)に行われる.

・第20回江橋節郎賞は5月末日までに「トランスレーショナルリサーチ・応用」の領域での募集を公告し,推薦締切は8月末日,江橋節郎賞選考委員会の選考を経て理事会で決定する. 

(2) 学術奨励賞

薬理学の進歩に寄与する顕著な研究を発表し,将来発展の期待される研究者に学術奨励賞を授与する.

・第41回学術奨励賞受賞者3名の受賞講演は,第99回年会会期中(2026年3月16日,仙台)に行われる.

・第42回学術奨励賞は5月末日までに募集を公告し,推薦の締切は8月末日,賞等選考委員会の選考を経た3件以内の候補者について理事会で決定する.

(3) JPS 優秀論文賞

JPS 優秀論文賞は,授賞年度の前年1 年間にJPS に掲載された原著論文の中から選考し,その著者に授与する.

・第31回JPS優秀論文賞受賞者に賞状と副賞を授与する.

・第32回JPS優秀論文賞3編以内を決定する.

(4) 年会優秀発表賞

年会学術集会への優れた発表を促し,学問的情報発信の場としての役割を高めるために第99 回年会で一般演題の中から優 秀な発表に対して,10 件の年会優秀発表賞を授与する.

(5) 優秀査読者賞

Journal of Pharmacological Sciences の査読者の質を向上させ,掲載論文の国際的価値を高めることに資する目的で5 名以 内にJPS 優秀査読者賞を授与する.

4 薬理学及びわが国学術文化の進展・発展への寄与を目的とした,内外の関連学術団体との連携及び協力事業 (公益目的事業4)

(1)  日本学術会議との連携 

日本学術会議協力学術研究団体として国際連携を推進する.

(2)  生物科学学会連合との連携

加盟団体と情報を共有して「生物科学」の健全な発展に協力するために,定例会議に出席する.連合の一員として,行政等への提言,働きかけを行う.

(3)  日本脳科学関連学会連合との連携

加盟団体の一員として,脳科学の発展ならびに普及を通して社会への貢献に協力する.

(4)  国内の関連学術団体と連携して年会で共催シンポジウム等を開催する.

(5) 海外の関連学術団体と連携して共催シンポジウム等を開催する.

 ・2国間交流

第26回日韓薬理学合同セミナー(2026年11月5-6日,静岡市)
第10回日中薬理学・臨床薬理学ジョイントミーティング(2026年11月27-28日(第47回日本臨床薬理学会学術総
会),福井市)
日台セッションおよび日泰セッション(2026年3月17日,第99回年会,仙台市)

  ・講師交換プログラム(ASCEPT)
    WPC2026(2026年7月12-17日,Melbourne)

・NC-IUPHAR委員派遣

・国際対応アソシエイツ運営と交流会

・運営および若手の参加支援

・KJPP(Korean Journal of Physiology and Pharmacology)エディターチームとの合同編集会議の開催

5 薬理学エデュケーター認定制度(その他の事業)

 優れた薬理学教育者を育成・支援し,薬理学の知識の普及および研究水準向上への貢献を目的として,薬理学エデュケータ ー認定事業を行っている.毎年,6 月1 日から30 日まで申請を受け付ける.

6 その他

(1) 会員

・2026年度末の会員数は2025年度末の会員数から若干,減少する見込みである.

(2) 業務執行体制の整備と強化

・代表理事1名,業務執行理事3名による執行体制で常務理事会を構成し,様々な課題に取り組む.

(3) 社会に向けて 

・科学的で正確な薬理学的知識に基づいて,薬物に関する正しい知識を国民に対して広めることおよび薬理学の社会的重要 性を国民に広く知ってもらうため,公開講座をとおして啓発活動を行う.

・倫理委員会規定を制定し,科学者の行動規範に反する不正行為の防止に取り組んでいる.

(4) 事務局体制について 

・常勤1 名と外部委託職員にて,業務を遂行している.

公益社団法人日本薬理学会