懸案でありましたJournal of Pharmacological Sciences(JPS)と日本薬理学雑誌の二誌の委託先変更が既に完了し,平成 27 年1 月からJPS は冊子体を廃止し全面電子ジャーナル化を行っています.これによる経費削減により,財政状況は好転しつ つあります.これを契機として,学会の使命である薬理学の振興によって学術文化の発展に寄与するため,学会活動の更なる 活性化を目指すことを本年度の重点目標とします.学術集会については,引き続き女性や若手研究者そして企業研究者の積極 的な参画を促しつつ,活気あふれる学術集会を開催します.また,昨年度から中長期的な視点に立った年会のプログラム構成 を企画する体制を開始しましたが,これを更に拡充して他学会所属の研究者にもアピールできる学術集会を目指して行きます.
2年後に控える第18 回国際薬理学臨床薬理学会議(WCP2018)の京都開催を,学会の更なる発展およびグローバル化の好機と 捉え,これを成功させるための方策をとってまいります.具体的には,日本臨床薬理学会をはじめとした国内学会との協力, 国際薬理学連合(IUPHAR)およびアジア・オセアニア各国との連携,昨年度合意された米国と英国の薬理学会との新たな連携 の着実な実施と強化を進めてまいります.国際連携が重要な課題となっており,中長期的な視点からの対応ができるように体 制を整えます.学会機関誌については,編集委員会ならびに広報委員会を中心に更なる質の向上に尽力します.特に,国際情 報発信強化助成金を用いたJPS の国際誌としてのレベルアップと学会ホームページの充実を一層進めてまいります.本会の更 なる発展を目指すため,会員の皆様のご理解と一層のご支援ご協力をお願いいたします.
理事長 飯野 正光
(1) 年会の開催
第89 回年会は,『Voyage beyond the Horizon』をテーマとし,未知の領域への果敢な挑戦によって,まだ見ぬ新たな薬理 学像を創造していかなければならないという方向性を示す契機とする.薬理学の新たな展開,企業研究者の視点からの薬理 学研究,若手研究者の育成,男女共同参画の推進等,本学会が取り組むべき重要なテーマに配慮をしつつ,広く会員諸氏の 意見を取り入れて,有意義な年会となるよう学会一丸となって取り組む.プレナリーレクチャーは2015 年ノーベル生理学・ 医学賞受賞者の大村 智氏(北里大学特別栄誉教授)が「求めていなければ授からない-エバーメクチン物語-」を講演する.
内外の研究者10 名がそれぞれ特別講演を行う.JPS とASPET の講師交換プログラムによる講演,教育セミナー4 件,年会企 画シンポジウム9 題,JPS サテライトシンポジウム1 題,企業企画シンポジウム2 題,次世代の会シンポジウム2 題,年会企 画ワークショップ3 題,日本毒性学会,日本生理学会との各共催シンポジウムを計画している.
・第 89 回 日本薬理学会年会 年会長:石井 邦雄(北里大学・薬)
平成28 年3 月9 日~11 日 パシフィコ横浜 会議センター
(2) 地方部会の開催
6 回の地方部会を開催する.ランチョンセミナー等多彩な企画を予定している.
・第129 回 日本薬理学会近畿部会 部会長:小澤光一郎(広島大学・院・医歯薬保健)
平成28 年6 月24 日 広島市民文化交流会館
・第134 回 日本薬理学会関東部会 部会長:武田 弘志(国際医療福祉大学・薬)
平成28 年7 月 9 日 国際医療福祉大学
・第 67 回 日本薬理学会北部会 部会長:三輪 聡一(北海道大学・院・医)
平成28 年9 月30 日 北海道大学学術交流会館
・第135 回 日本薬理学会関東部会 部会長:梅村 和夫(浜松医科大学・医)
平成28 年10 月8 日 アクトシティ浜松
・第130 回 日本薬理学会近畿部会 部会長:金子 周司(京都大学・院・薬)
平成28 年11 月19 日 京都大学
・第 69 回 日本薬理学会西南部会 部会長:荒木 博陽(愛媛大学病院)
平成28 年11 月26 日 松山総合コミュニティセンター
(3) 市民公開講座の開催
科学的で正確な薬理学的知識に基づいて,薬物に関する正しい知識を国民に対して広めること及び薬理学の社会的重要性を 国民に広く知ってもらうための啓発活動の一環として年会,地方部会と連動して3回の市民公開講座を開催する予定である.
・公開講座(第89 回年会) 平成28 年3 月12 日,北里大学薬学部コンベンションホール(東京都港区)
『薬の過去・現在・未来~その役割の変遷~』 講師:池谷 裕二(東京大学・院・薬),本田 一男(元昭和大学・薬)
・地方部会に合わせて2 回開催の予定
(4) 新薬理学セミナーの開催
新薬理学セミナーは,講演や実習を通じて会員の薬理学研究に関する知識や技術の向上を図るとともに,会員間の人材交流 の場を提供することを目的とする.地方部会活性化の一助とすべく,春季ならびに秋季に開催される部会と連動して開催す る.開催日は部会開催と同日またはその前後日とし,会場は部会長が所属する大学・機関の施設(講堂,教室,実習室,研 究室等)や近郊施設を利用する.本セミナーは,会員,特に若手会員のキャリア開発を支援することにより,薬理学研究の 益々の発展に資する意義ある企画である.
・新薬理学セミナー2016(地方部会と同日またはその前後日に2 回開催の予定)
(1) Journal of Pharmacological Sciences を全面電子体のオープンアクセス誌として刊行する.
・2016 年刊行予定:130 巻1~4 号,131 巻1~4 号,132 巻1~4 号,Supplement(The 89th Annual Meeting)
(2) 日本薬理学雑誌(くすりとからだ/ファーマコロジカ)の刊行
・2016 年刊行予定:147 巻1~6 号,148 巻1~6 号 計12 冊
(3) 会員相互の情報交換のために8 月に会員名簿を発行する.
(1) 江橋節郎賞
日本薬理学会名誉会員故江橋節郎先生の生命科学への貢献を末永く顕彰するため,江橋節郎賞を創設し,独創的,飛躍的な 業績をあげ,薬理学の進歩に大きく貢献した研究者に授与する.
・第9 回江橋節郎賞受賞者の受賞講演は,第89 回年会二日目の平成28 年3 月10 日に行われる.
森 泰生(京都大学大学院地球環境学堂及び工学研究科)
『Ca2+チャネルの分子実体の同定とそれを基盤とする薬理・生理学的探究』
・第10 回江橋節郎賞は5 月末日までに募集の公告をし,推薦の締切は8 月末日,江橋節郎賞選考委員会の選考を経て理事 会で決定する.
(2) 学術奨励賞
薬理学の進歩に寄与する顕著な研究を発表し,将来発展の期待される研究者に学術奨励賞を授与する.
・第31 回学術奨励賞受賞者3 名の受賞講演は,第89 回年会二日目の平成28 年3 月10 日に行われる.
青木 友浩(京都大学医学部次世代免疫制御を目指す創薬医学融合拠点)
『トランスレーショナルリサーチとしての脳動脈瘤形成機序の薬理学的研究』
小坂田文隆(名古屋大学大学院創薬科学研究科細胞薬効解析学)
『新規狂犬病ウイルストレーシング法による神経回路の構造・機能・再生の解明』
中野 大介(香川大学医学部形態機能医学講座薬理学)
『腎臓病進展における病態生理の解明と治療戦略の構築』
・第32 回学術奨励賞は5 月末日までに募集の公告をし,推薦の締切は8 月末日,賞等選考委員会の選考を経た3 件以内の 候補者について理事会が決定する.
(3) JPS 優秀論文賞
過去3年間にJPSに掲載された論文の中で引用回数の多い順に毎年約10編の中から特に優れたものを選出し,その著者にJPS 優秀論文賞を授与する.受賞者には第89 回年会三日目のJPS サテライトシンポジウムで講演を行ってもらう予定である.
・第20 回JPS 優秀論文賞受賞3 編の授与式は第89 回年会二日目の平成28 年3 月10 日に行われる.
・第21 回JPS 優秀論文賞(本賞授賞の趣旨に則り)3 編以内を決定する.
(4) 年会優秀発表賞
年会学術集会への優れた発表を促し,学問的情報発信の場としての役割を高めるために第89 回年会で一般演題の中から優秀 な発表に対して,10~20 件の年会優秀発表賞を授与する.
(5) 第89 回年会の学生セッションにおいて,学生のすべての演題を対象とした学生優秀発表賞の選考を行う.
(1) 日本学術会議との連携
日本学術会議協力学術研究団体の一員である本会は,日本学術会議国際対応分科会の活動として国際連携を推進する.
(2) 生物科学学会連合との連携
加盟団体と情報を共有して「生物科学」の健全な発展に協力するために,定例会議に出席する.
(3) 国内の関連学術団体と連携して第89 回年会で共催セミナー,共催シンポジウムを開催する.
・日本臨床薬理学会との共催研究倫理セミナー「科学研究における倫理の質を高める」
・日本医学会連合との共催シンポジウム「免疫薬理―免疫疾患への革新的な治療法開発と薬理学の新たな役割」
・日本毒性学会との共催シンポジウム「ガス状分子と活性イオウによる病態制御機構の解明」
・日本生理学会との共催シンポジウム「光遺伝学や薬理遺伝学を用いた痛みの研究の最前線」
(4) IUPHAR との連携及び国際薬理・臨床薬理大会(WorldPharma)
WCP2018 京都大会に向けてWCP2018 組織委員会より,各国の薬理学会等に対してプログラム提案依頼書を送付した.本会の学 術評議員からもプログラムの提案を募っている.
1 会 員
・平成27 年度末の会員数は平成26 年度末の会員数4,724 名から減少する見込みである.平成27 年度会費より,シニア割引 制度を設け退職による退会者を減少させること,海外からの入会申請をWeb 申し込みとし,利便性を向上させる等の会員 数維持に向けた取り組みを続けている.
2 業務執行体制の整備と強化
・代表理事1 名,業務執行理事3 名による執行体制で,常務理事会を開催し様々な課題に取り組んでいる.理事会の継続性 を担保するために副理事長制を導入した.
3 会員及び社会に向けて
・倫理委員会規定を制定し,科学者の行動規範に反する不正行為の防止に取り組んでいる.「雑誌投稿」,「集会発表」,「役 員就任資格」それぞれの利益相反ポリシーと運用細則を策定し,本会で発表される研究の透明性を確保し適正な管理に務めて いる.第88 回年会の利益相反セミナー(COI セミナー)に続き,第89 回年会で研究倫理セミナーを日本臨床薬理学会と共催し,研 究者の意識向上に務める.第88 回年会のCOI セミナーは動画に撮影し,会員に公開している.
4 事務局体制について
・平成27 年4 月より,学会事務局は定年退職した2 名を嘱託職員として再雇用し,運営されている.