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JJP発展のためにご協力を

JJP発展のためにご協力を

野村 靖幸
北海道大学大学院薬学研究科
日薬理誌,JJP編集委員長

 日本薬理学会は設立されて75有余年、6,000名を越える会員を有する日本でも有数の学会である。また社団法人であり、学会としてのステータスもあり、今後も一層の発展が期待されている。

 当学会の学術活動としては、学術大会(年会や部会など)の開催とともに学術誌の刊行が最も重要である。1925年に「日薬理誌」、1951年にJpn. J. Pharmacol.(以下JJPと略)の刊行が開始され、これまで順調に発展してきた。また両誌は薬理学の進歩にも貢献してきた。「日薬理誌」は会員の間の学術上の情報交換のメディアとして、Newsletterの役割も務め、会員に親しまれる会誌として定着しつつある。一方JJPは、原著論文(Full Paper, Short Communication, Rapid Communication)を中心に、Review (Current Perspectives, Critical Reviews, Survey Reviews, Forum Minireviews, New Drugs and Recent Techniques)など多彩な論文が掲載されて毎月発行されている。2001年より、JJPはオンライン化され、読者は受理された論文に速やかにアクセス可能となり、読者の利便性も高まった。さらに、JJPでは1997年より海外担当のEditor 2名や編集アドバイザー9名も加わり、海外論文も積極的に受付け、掲載されるようになってきた。このようにJJPは最近著しく進展する情報化、国際化に対応する努力を不断に行っている。今後も国際的観点で質の高い論文を迅速に受理し、発信する事が必要不可欠である。

 さて、先般2000年分のISIのJournal Citation Reportsが発表された。Review 誌を除いたJournalのimpact factor (IF)値をみると、Cell (32.440)が最高値を示しNature (25.814)とScience (23.872)も揺るぎがたい高値を示している。Immunity, Gene & Development, Molecular Cell, Neuron, EMBO Journalなども高い。薬理学関連雑誌をみると、Molecular Pharmacology (5.678), Neuropharmacology (4.125), Pharmacogenetics (4.465)が上位にランクされ、Br. J. Pharmacol. (3.689)やJ. Pharmacol. Exp. Ther. (3.452)もオーソドックスな国際誌として高値を示し面目を保っている(表参照)。私たちのJJPは、1.317と前年の1.210に比し微上昇を示した。しかし、日本生化学会のJ. Biochem. (2.116), 日本神経科学学会のNeurosci. Res. (1.807) に比較し低い。IFというよりは掲載論文の内容のレベルアップがJournalとしては重要であり、掲載論文の被引用回数を示すIF値はその結果にすぎないが、IF値上昇に向けて格段の努力も必要である。IF値2.0がその努力目標であろう。

 IF値上昇を含むレベルアップの方策については、これまで薬理学会全体としてまた編集委員会でも熱心に議論されてきた。上記の海外Editor制の導入も大きなものであるがそれ以外にも、たとえば、a)JJP掲載論文における、優秀論文の表彰、b)審査方法の改善(適切な審査委員の選択、審査期間の短縮など)の他、c)JJPの誌名変更や、海外出版社への委託の検討などがそれである。このうちJJP優秀論文賞表彰は実施に移され、定着したのはご承知のとおりである。また、今期の編集委員会は、インターネットシステムを活用してのa)投稿論文の受け付け、b)審査期間の短縮などについても具体的に検討・準備中である。最近、遠藤政夫教授(山形大学医学部)より貴重なご提言を頂いた(本誌118巻11月号の「アゴラ」掲載)。同教授は、優れた審査委員の育成、短報(「Editorials」など)の掲載の他、編集委員会構成員の長期的な継続性などを提案されている。いずれも実施可能な方策は、早急に検討しできる所から実施したいものである。ただし編集委員会のあり方に関しては、委員の任期、委員の数、委員の役割の他、他の常置委員会との関係などについて、理事会や総会での議論が必要であろう。

 一方、薬理学会会員や読者の皆様に対し、当編集委員会はJJP掲載論文を引用しての論文発表をぜひお願いしたい。とくに薬理学会会員には、JJPが自分たちのJournalであるという自覚と愛着をもって頂き、立派な雑誌に育てて頂きたいと考える。また独創性豊かな論文を投稿して頂くとともに、JJPレベルアップのために具体的提言もお願いしたい。

 薬理学会会員の知的財産JJP、および日薬理誌の発展は、薬理学会の活性化と発展に連なることと考えられる。JJPと日薬理誌の一層の発展のために、会員の皆様のご理解とご協力を何卒よろしくお願いしたい。


表.薬理学関連雑誌の2000年impact factor など

Journal

Impact factor

Total citation

Cited half-life*

Double product**
Mol. Pharmacol.

5.678

16784

6.1

34.64
Br. J. Pharmacol.

3.689

24686

5.5

20.29
J. Pharmacol. Exp. Ther.

3.452

31703
7.0
24.16
Biochem. Pharmacol.

2.975

18812

8.4

24.99
N-S. Arch. Pharmacol.

2.869

5827

7.5

21.52
Eur. J. Pharmacol.

2.236

25453

6.7

14.98
Jpn. J. Pharmacol.

1.317

2482

7.0

9.22
J. Pharm. Pharmacol.

1.229

4177

9.8

12.04


* 被引用半減期:当該年から過去に遡り、被引用数の累積が全被引用数の50%になる年数
**I mpact factor × Cited half-life

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