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日薬理誌第126巻第5号 2005年11月

アゴラ
303 
薬理学と創薬
永津俊治

特 集 ●イオンチャネル創薬 -着眼点と新技術-
305 
序文:金子周司

306 
導入説明:イオンチャネル創薬の現状・特徴・課題
金子周司

311 
ATP 感受性 K+ (KATP) チャネル制御の機能構造的理解
倉智嘉久、山田充彦

317 
新規カルシウム拮抗薬標的としてのTRPチャネル
清中茂樹、森 泰生

321 
電位依存性イオンチャネル探索研究における蛍光および電気生理学的高速スクリーニング(HTS)法
澤田光平、日原裕恵、吉永貴志

329 
創薬標的の探索:評価のための基盤技術
橋場周平

335 
ノイズ解析を用いた新しいハイスループット電気生理測定法
吉田卓史、片山統裕、中谷将也、小島正敏、慈幸秀保、森 泰生、竹谷 誠

総 説
341 
泌尿器領域における創薬:塩酸タムスロシンおよび塩酸ソリフェナシン
宮田桂司

実験技術
347
PETを用いた脳機能の分子イメージング法
岡村信行、谷内一彦

新薬紹介総説
353
高カルシウム血症治療薬 ゾレドロン酸水和物(ゾメタR)の薬理学的特性および臨床効果
友尾 孝、鈴木理之

◆ くすりの来た道(1)
358
われらは遠くから来た
岡部 進

サイエンスエッセイ
360
「ほたる」の光も NO から
戸田 昇

■ 展望シリーズ:ゲノム薬理学 四方山ばなし(4)
362
古きを訪ね、新しきを知る
ゲノム情報を基礎とした人体理解と薬
増井 徹

学会便り
366 
薬理学サマーセミナー2005長崎
「痛み研究への誘い-研究戦略と方法論」
植田弘師

新教授紹介
367頁 竹内正吉、渡邉裕司

お知らせ
368頁 役員・委員選挙実施日程
25A   IF、 訂正、集会案内
26-27A Calendar
27A   募集、事務局NEWS、訃報
28A   編集後記
333頁 安全性情報No.217
334頁 執筆の手引き
345頁 E-journalアクセス集計
346頁 JPS 99:2 目次
352頁 次号予告
ブルー次頁   2006年予告
ブルー次々頁 英語目次、複写規定

著者プロフィール

316, 328, 333, 352

//広 告///編集後記//

 

●特 集 イオンチャネル創薬●
『イオンチャネル創薬』とは,ゲノム情報から明らかになってきた膜輸送タンパク質の薬物標的としての妥当性を評価し,さらに低分子リガンドを探索する過程を指す。薬理学研究におけるイオンチャネル創薬の新しい動向について,最新情報を紹介する。
(金子周司 「イオンチャネル創薬-着眼点と新技術-」序文 p.305)
 
イオンチャネル創薬の展望
ゲノム創薬の時代にあってもイオンチャネルを標的とする創薬は進展していない。この原因を考察するとともに,イオンチャネル創薬の欠点と利点を明らかにすることによって,今後の可能性や展望を論ずる。また,神経薬理学の中で,難治性疼痛や神経変性疾患に対する新しい治療薬ターゲットとなる可能性のあるイオンチャネルについて紹介する.
(金子周司 導入説明:イオンチャネル創薬の現状・特徴・課題 p.306)
 
ATP感受性K+ チャネル
ATP感受性K+(KATP)チャネルは、細胞内の代謝状態と細胞膜の興奮性を結びつけるチャネルであり、sulfonylurea受容体とKir6.xから構成される。このチャネルは、臨床的にも重要な種々のK+ チャネル開口薬・阻害薬、あるいは細胞内のヌクレオチドにより、活性が制御される。本稿では、我々が作成したKATPチャネルの構造的機能モデルを紹介し、薬物やヌクレオチドによる活性制御機構を考察する.
(倉智嘉久 ATP感受性K+(KATP)チャネル制御の機能構造的理解 p.311)
 
TRPチャネル
受容体活性化カチオンチャネル(RACC)は重要な創薬ターゲットとして位置づけられる。最近その分子実体(TRPチャネル)が明らかにされたこともあり、選択的な拮抗薬の開発が強く望まれてきた。本論文では有力な候補薬を中心に、TRPチャネル(RACC)を標的とする新規カルシウム拮抗薬の可能性について論ずる.
(清中茂樹 新規カルシウム拮抗薬標的としてのTRPチャネル p.317)

 
電位依存性イオンチャネル
電位依存性イオンチャネルをターゲットにした創薬研究は、その技術的な制限やスループット性の低さにより困難を極めていた。しかし近年、蛍光膜電位測定法やオートメーションパッチクランプ法などの技術革新によって短時間で多検体評価が可能となり、一気にイオンチャネル創薬研究が加速している。より有用なイオンチャネルドラッグ創製の日も近い.
(澤田光平 電位依存性イオンチャネル探索研究における蛍光および電気生理学的高速スクリーニング(HTS)法 p.321)

 
イオンチャネルのリガンド探索
創薬標的分子の有力候補と期待されているイオンチャネルのリガンド探索方法は最近のHTS装置の発展により変化がみられる。イオンチャネル創薬の現状を紹介し、近年HTS化された様々な基盤技術を生物学的情報量、スループット、感度、コストなどに着目し紹介し、さらに、発現系についても紹介する.
(橋場周平 創薬標的の探索:評価のための基盤技術 p.329)
 
ハイスループット電気生理測定法
イオンチャネルをターゲットとした創薬研究が近年盛んになってきているが,ノイズ解析を用いた新しい創薬一次スクリーニング用ハイスループットシステムの原理紹介,またノイズ解析を用いた電流解析の実際のデータを紹介する.
(吉田卓史 ノイズ解析を用いた新しいハイスループット電気生理測定法 p.335)
総 説 泌尿器領域における創薬
前立腺肥大症に伴う排尿障害治療薬塩酸タムスロシンおよび頻尿・尿失禁などの蓄尿障害治療薬塩酸ソリフェナシンは、それぞれの薬効に基づく副作用を回避することにより、上市に至った。これらの事例は、創薬においては、薬効プロフィールもさることながら、薬物動態(PK)プロフィールも重要であることを示している.
(宮田桂司 泌尿器領域における創薬:塩酸タムスロシンおよび塩酸ソリフェナシン p.341)

実験技術 脳機能のPETイメージング
近年注目を浴びているPETを用いた分子イメージングの方法論について、特にPETイメージングを中心に概説したほか、中枢用プローブ開発における課題、新規プローブの臨床応用への基準、臨床応用の具体的な例について当施設での研究成果も含めて述べる.
(岡村信行 PETを用いた脳機能の分子イメージング法 p.347)

新薬紹介総説 高カルシウム血症治療薬ゾレドロン酸水和物
ゾレドロン酸水和物(ゾメタR)は,ノバルティス ファーマ社で合成・開発された新規のヘテロサイクリックビスホスホネートで,悪性腫瘍による高カルシウム血症(HCM)の治療薬である.本総説では,ゾレドロン酸の薬理学的特性および臨床試験成績について述べる.
(友尾 孝 高カルシウム血症治療薬 ゾレドロン酸水和物(ゾメタR )の薬理学的特性および臨床効果 p.353)

くすりの来た道
 
1
良薬は口に苦し
「良薬は口に苦し」という言葉がある。これは「良い薬は、味は悪いが我慢しなさい」と解釈されている。著者は「味が悪いから、良い薬となった」という原点から、くすりの歴史を再考察する。悪魔が来たりて笛を吹く・・・か。
(岡部 進 われらは遠くから来た p.358)
サイエンスエッセイ ほたるの光とNOと
初夏の夕暮れに幻想の光の舞を演ずるほたるにまで科学のメスが入るのは好みではなかったが、たまたまその発光メカニズムのmissing link にNOが絡むとの興味あるエビデンスを見て、アメリカで体験したほたるの光の巨大な絨毯との得難い出会いを思い出した。
(戸田 昇 「ほたる」の光もNOから p.360)
展望シリーズ:ゲノム薬理学 四方山ばなし

4

 

ゲノム情報を利用する
ゲノム情報は「わたくしのものであって、わたくしだけのものではない」という基本的性質をもつ。この性質をゲノム薬理学の研究とその成果の社会還元に生かすための基礎戦略について考察する。
(増井 徹 ゲノム情報を基礎とした人体理解と薬 p.362)

 

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