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日薬理誌第126巻第6号
2005年12月
アゴラ
369
大学の教育改革
横谷邦彦
特 集 ●心不全研究のニューパラダイム●
371
序文:光山勝慶
372
心不全におけるリアノジン受容体機能異常
矢野雅文
377
心不全におけるアルドステロンの意義
吉村道博
381
心不全と細胞周期
伊藤 宏
385
オルガネラ発信のアポトーシス―肥大心から不全心への進展における小胞体ストレスの役割―
岡田健一郎、南野哲男、北風政史
総 説
391
ヒト組織を研究利用するための基盤整備:ヒト組織の提供から保存まで
中谷祥子、小林真一
実験技術
399
インスリン開口放出のリアルタイム可視化技術
今泉美佳、永松信哉
新薬紹介総説
407
肺動脈性肺高血圧症治療薬、ボセンタン水和物(トラクリアR錠62.5 mg)の薬理学的特性と臨床効果
藤本和巳、池谷 理
419
キャッスルマン病治療薬、遺伝子組換えヒト化抗ヒトインターロイキン-6 受容体抗体(トシリズマブ)の薬理学的特徴と臨床効果
大杉義征、土本信幸
最近の話題
426
日本が世界に誇れる一流品-GLP(Good Laboratory Practice)下での動物実験-(1)
西村(鈴木)多美子
427
バイオロジクスのトランスレーショナルリサーチ(1)
川西 徹
シリーズ:睡眠異常(1)
428
睡眠覚醒調節の基礎研究
本多和樹
■ 展望シリーズ:ゲノム薬理学 四方山ばなし(5)
432
ゲノム薬理を利用した医薬品開発への期待と課題
宇山佳明
くすりの来た道(2)
436
去年の夏突然に
岡部 進
お知らせ
29A 優秀論文賞選考案内
29A テクニカルセミナー2006
30-31A 日本医学会だよりNo.34
31A 募集
32-33A Calendar
33A JPS特別号について、訂正
34A 編集後記
376頁 次号予告
390頁 JPS 99:3 目次
398頁 E-journalアクセス集計
435頁 安全性情報No.218
22P 英語目次、複写規定
広告第1頁 執筆の手引き
著者プロフィール
376, 380, 384, 389, 398, 405, 418, 425
抄 録
19P 第30回 日本学術会議薬理学研連シンポジウム 橋本敬太郎
126巻索引 |
//広 告///編集後記//
●特 集 |
心不全の新しい治療戦略●
心不全の新たな治療戦略をテーマに特集を組んだ。心不全治療の標的因子となり得る、リアノジン受容体機能異常、心臓局所アルドステロン系、小胞体ストレス、心筋再生など、心不全発症機序に関する最新の知見を紹介する。
(光山勝慶 「心不全研究のニューパラダイム」序文 p.371)
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心不全とリアノジン受容体
最近、心不全では筋小胞体Ca2+放出チャネルであるリアノジン受容体(RYR)から異常なCa2+ 漏出が生じており、このCa2+
漏出はSR Ca2+貯蔵量の減少から心収縮・弛緩能の障害を惹起しうること、さらに、delayed after deporalizationを介して致死的不整脈の要因となることが示された。このような細胞内Ca2+制御異常を正常化することにより心不全の発現を抑制できる可能性が実験的に示され、RYRは新たな心不全治療ターゲットとして期待されている.
(矢野雅文 心不全におけるリアノジン受容体機能異常 p.372) |
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◆ |
心不全とアルドステロン
心不全の病態形成には、循環中のみならず心臓組織内でのレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の活性化が重要である。アンジオテンシンII(AII)がまさに組織内でも合成されるが、心不全や高血圧心においてアルドステロンも合成されることが判明した。アルドステロンは、心臓の繊維化を促進するので、アルドステロンを抑制する治療はAIIを抑制する治療と同様に大事であろう.
(吉村道博 心不全におけるアルドステロンの意義 p.377)ATP感受性K+ チャネル |
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◆ |
心不全と細胞周期
増殖能を持たない心筋細胞においても、細胞周期は心筋細胞肥大に重要な役割を果たしていることがわかった。また細胞周期制御因子により心筋細胞に増殖能を持たせることができ、新しい心筋再生療法につながる可能性がある.
(伊藤宏 心不全と細胞周期 p.381)
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◆ |
心不全と小胞体ストレス
心肥大から心不全への進展の際に認められる心筋細胞のアポトーシスは、death receptorを介する系とミトコンドリアを介する系を中心に論じられてきたが、近年、オルガネラが注目されている。虚血、酸化ストレス、タンパク合成の亢進といった刺激は、小胞体がもつタンパク質の折り畳みや品質管理などの機能を障害し、異常なタンパク質が蓄積する(小胞体ストレス)。ここでは、不全心における小胞体ストレスの役割について紹介する.
(岡田健一郎 オルガネラ発信のアポトーシス-肥大心から不全心への進展における小胞体ストレスの役割- p.385)
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総 説 |
ヒト組織を研究に利用する
ヒト組織を用いた研究の重要性が増す中、公共のヒト組織バンクが設立され、日本人ヒト組織の研究利用が可能となった。とはいえ、その扱いは「ヒトゲノム・遺伝子解析研究における倫理指針」の遵守など慎重になされるべきである。そこで、聖マリアンナ医科大学でヒト組織提供医療機関として取り組んできたヒト組織を研究利用するための基盤整備について報告し、問題点について述べる.
(中谷祥子 ヒト組織を研究利用するための基盤整備:ヒト組織の提供から保存まで p.391) |
実験技術 |
インスリン開口放出のリアルタイム可視化
インスリンは膵β細胞内の分泌顆粒に貯蔵され、開口放出によって細胞外へ分泌される。この開口放出機構の解明には、インスリン分泌顆粒動態の画像解析が有力なアプローチとなる。私達は、遺伝子工学的手法によるインスリンのGFP標識と、全反射蛍光顕微鏡を用いた画像解析技術を組み合わせることにより、グルコース刺激による2相性インスリン分泌における分泌顆粒の形質膜への供給、ドッキング、フュージョン/開口を単一顆粒レベルで画像解析することに成功した.
(今泉美佳 インスリン開口放出のリアルタイム可視化技術 p.399) |
新薬紹介総説 |
肺動脈性肺高血圧症治療薬ボセンタン水和物
ボセンタン水和物(トラクリアR錠62.5 mg)はエンドセリン(ET)拮抗薬であり,ETAおよびETBの両受容体に非特異的かつ競合的に結合する特性を有し,エンドセリンが介在する疾患の一つである肺動脈性肺高血圧症の治療薬として初めて開発された。本薬の薬理学的特性と国内および国外の肺動脈性肺高血圧症患者を対象にした臨床試験成績を紹介する.
(藤本和巳 肺動脈性肺高血圧症治療薬,ボセンタン水和物(トラクリアR錠62.5 mg)の薬理学的特性と臨床効果 p.407)
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新薬紹介総説 |
キャッスルマン病治療薬トシリズマブ
キャッスルマン病(CD)患者では腫脹リンパ節で過剰に産生されたIL-6が、発熱、肝脾腫、食欲不振、および倦怠感などの臨床症状、並びに、高γグログリン血症、貧血、C反応性タンパク高値などの検査値異常が起こる。IL-6
阻害薬であるトシリズマブ(ヒト化抗ヒトIL-6受容体抗体)は臨床試験で有用性が認められた世界で初めてのCD治療薬であり、我が国発の第一号抗体医薬品として注目を集めている.
(大杉義征 キャッスルマン病治療薬、遺伝子組換えヒト化抗ヒトインターロイキン-6 受容体抗体 (トシリズマブ)の薬理学的特徴と臨床効果 p.419)
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最近の話題 |
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世界に誇れる一流品
医薬品等の承認を受けるために必要とされる毒性試験と安全性薬理試験の一部は、厚生労働大臣が定める基準GLPに従って資料を収集し、作成しなければならない。医薬品医療機器総合機構が実施するGLP調査では、100余りの国内動物実験施設がGLPに適合であり、わが国の非臨床安全性データの信頼性は世界の一流品である。日本発の国際的医薬品開発へ、頑張れ、わが国の動物実験科学者!
(西村(鈴木)多美子 日本が世界に誇れる一流品 -GLP(Good Laboratory Practice)下での動物実験―(1)p.426)
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バイオ医薬品の開発(1)
生体由来物質(バイオロジクス)を医薬品として開発するためのトランスレーショナルリサーチを実施するための条件、および実施にあたって考慮すべきポイントを、規制ガイドラインから考える。
(川西 徹 バイオロジクスのトランスレーショナルリサーチ(その1) p.427)
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シリーズ:睡眠異常 |
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1
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睡眠覚醒調節
睡眠障害ナルコレプシーは,その動物モデルの開発により,分子レベルでの病態生理解明の研究が進展している。オレキシン系の伝達障害がナルコレプシーの主因とされ,今後早期診断法の確立や治療法改善が期待される。(本多和樹 睡眠覚醒調節の基礎研究 p.428)
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展望シリーズ:ゲノム薬理学
四方山ばなし |
5
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ゲノム薬理と医薬品開発
近年、ゲノム薬理学を利用した医薬品開発が進められているが、承認審査の観点から、ゲノム薬理学に基づく医療を実現するためへの期待と課題について述べてみたい。
(宇山佳明 ゲノム薬理を利用した医薬品開発への期待と課題 p.432) |
くすりの来た道 |
2 |
去年の夏突然に
病気は、悪魔が体内に潜入した結果と考えられ、頭に穴を開け、悪魔払いをした古代。穿頭術が廃れて6-7千年後、モニスによる前頭葉ロボトミーでの復活。現代のてんかんや脳腫瘍摘出での穿頭術の応用までを記載する。(岡部 進 去年の夏突然に p.436)
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