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日薬理誌第128巻第1号 2006年7月

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アゴラ

医学教育モデル・コア・カリキュラム、統合カリキュラムの導入と薬理学教育
西尾眞友


特 集 ●ストレスから精神疾患に迫る-ストレスが脳を変える-
3
ストレスから精神疾患に迫る:海馬神経新生と精神機能
神庭重信

8
脳の発達障害ADHDはどこまでわかったか?
曽良一郎、福島 攝

13
脳の発達障害としての統合失調症
西川 徹

19
遺伝子から探る新規抗うつ薬の開発
山田光彦、山田美佐、高橋 弘、丸山良亮


総 説
23
特異的Gq/11阻害薬(YM-254890)の薬理学的プロファイル
川崎富久、上村俊雄、谷口昌要、高崎 淳

実験技術
33
過酸化脂質誘導ウサギ角膜血管新生モデル
中西孝子、植田俊彦

治療薬シリーズ(5)糖尿病
37
糖尿病治療薬の基礎-糖尿病モデル動物と糖尿病治療薬の開発-
武内浩二、鈴木伸宏、小高裕之

42
糖尿病治療薬の臨床現状と今後の治療薬に期待すること
島野 仁

キーワード解説
46
受容体感受性
菱沼 滋、齋藤政樹

50
KCNQチャネル
澤田光平

53
メラノコルチン-4受容体
茶木茂之、奥山 茂


日の目を見ることのなかった研究達(その4)
56
長期増強現象発現とカルシウム濃度上昇
工藤佳久


リレーエッセイ vox nova
58
研究は人によって生み出される
松本みさき

59
思考回路-細胞内旅行は可能か?
斎藤将樹


最近の話題

61
ファーマコメタボノミクス
池谷裕二


コレスポンデンス
64 
医療費を考える
白神 誠

新教授紹介
62 小林裕太、鈴木正彦
63 原 明義、李 昌一

お知らせ
前綴込 公告 代議員選出の件、投票用紙
     部会案内、払込取扱票
1-2A 新入会者および部会異動者一覧、訃報
3A 募集
4-5A 集会案内、委員一覧
6-7A Calendar
8A 名誉会員一覧、編集後記
7頁 安全性情報No.224
31頁 E-journalアクセス集計
32頁 執筆の手引き
41頁 次号予告

著者プロフィール
7,12,18,22,36


 

ハイライト 目次 top
●環境ストレスと精神疾患●
環境と遺伝がどのように精神疾患の発症に関わるのか、ストレスを切り口にして、精神疾患の構造を考える。

ストレスと海馬神経新生
環境が精神疾患の発症に関与するとして、それには大きく2つの関わり方がある。一つは、精神疾患の発症脆弱性を作る環境ストレスであり、他は精神疾患の発症の誘因としてのそれである。発症脆弱性の形成に関わるストレスとして問題になるのは、幼弱期の環境である。環境と遺伝がどのように精神疾患の発症に関わるのか、ストレスを切り口にして、また海馬神経新生の精神機能への関わりを含めて述べた.
(神庭重信 ストレスから精神疾患に迫る:海馬神経新生と精神機能 p.3)

ADHDとトランスポーター
覚せい剤の標的分子の一つであるDAトランスポーター(DAT)に関する最近の知見を解説するとともに、ADHD の動物モデルとしてのDAT 欠損マウスについて紹介し、ADHD の病態メカニズム解明に関する近年の進展について述べる.
(曽良一郎 脳の発達障害 ADHDはどこまでわかったか? p.8)

統合失調症と脳の発達
幻覚・妄想をはじめ多彩な精神症状を伴う統合失調症は、発生率、再発率が高く、治療薬抵抗性症状により慢性化し易いため、病因・病態の解明と新しい治療法の開発が急がれている。この難航する課題の克服に向けて、統合失調症および薬物による類似の精神障害が思春期以降に発症する特徴や、本症に深く関与するストレスへの反応も発達に従って変化する点に着目した、新たな神経発達の視点から、統合失調症の分子メカニズムに迫る.
(西川徹 脳の発達障害としての統合失調症 p.13)

遺伝子から探る新規抗うつ薬
ストレス社会と言われて久しい現代において、うつ病や自殺は大きな社会問題となっている。そのため、遺伝子を道具として画期的な作業仮説を検証するという新しいタイプの抗うつ薬開発モデルが希求されている.
(山田光彦 遺伝子から探る新規抗うつ薬の開発 p.19)


総 説
新規抗血小板剤YM-254890
これまでタンパク性のGタンパク質モジュレーターは知られていたが,Gq/11を特異的に阻害する低分子物質は知られていなかった.我々は,抗血小板剤探索の過程で,細菌由来環状デプシペプチド(YM-254890)がGq/11の活性化に伴うGDP/GTP交換反応を特異的に阻害することを見出した.本稿では,YM-254890の抗血小板剤としての薬理学的プロファイルを明らかにし,新規抗血小板剤としての可能性とバイオプローブとしての有用性を紹介する.
(川崎富久 特異的Gq/11阻害薬(YM-254890)の薬理学的プロファイル p.23)

実験技術
角膜血管新生モデル
生体内に存在するリノール酸ハイドロパーオキサイド(LHP)をウサギ角膜に投与し、輪部血管から角膜実質に血管新生が生じるモデルを作成したので紹介する。LHP投与後6~12時間後をピークに角膜内にTNF-α、VEGF、MMP-9が出現するこのモデルは血管新生抑制薬の探求に有効なモデルであると考えられる.
(中西孝子 過酸化脂質誘導ウサギ角膜血管新生モデル p.33)

●治験薬シリーズ(5)糖尿病●
糖尿病モデル動物
糖尿病モデル動物は、糖尿病の代謝内分泌異常の理解に有益な知見を提供してきたのみならず、αグルコシダーゼ阻害薬、インスリン抵抗性改善薬、速効性インスリン分泌促進薬、GLP-1誘導体などの開発にも貢献してきた。今後は、新たなモデル動物の作成、特に発生工学的手法を用いた糖尿病モデル動物の作成および血管合併症モデル動物の作成が重要であろう.
(武内浩二 糖尿病治療薬の基礎―糖尿病モデル動物と糖尿病治療薬の開発― p.37)

糖尿病治療薬の今後
SREBPファミリーはrERに結合している転写因子であり、細胞内ステロールをセンスするSCAPと複合体を作り、特異的プロテアーゼが待つゴルジ体へ移動してN末側のbHLH部分が切断され核内へ移動することが活性化制御機構である。 特にSREBP-2は、細胞内ステロール量の過不足に応じてこの切断機序にフィードバックがかかり、核内でコレステロール合成酵素、LDL受容体遺伝子発現制御を介して細胞内のコレステロール量を一定に調節する。 スタチンはSREBP-2を活性化してLDL受容体を誘導して血中LDLコレステロールを低下させる。
(島野仁 糖尿病治療薬の臨床現状と今後の治療薬に期待すること p.42)

 

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