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日薬理誌第128巻第2号 2006年8月

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アゴラ
65
薬理学を志す薬学系大学院生のこころ
亀井千晃


特 集 ●消化管病態研究のフロンティア●
67
序文:尾崎 博、竹内孝治

68
IκBNSによる自然免疫系の活性制御と消化管炎症
竹田 潔

72
腸炎疾患における消化管筋層部炎症応答と運動機能障害 
堀 正敏、藤澤正彦、尾崎 博

78
消化管におけるTRPV1の発現と機能   
富永真琴

82
PARの消化管機能
川畑篤史

88
慢性関節炎発症時における非ステロイド系抗炎症薬による消化管傷害性の変化
加藤伸一、竹内孝治


総 説
93
選択的セロトニン再取り込み阻害薬フルボキサミンの薬物相互作用
-生活習慣病薬として日常使用頻度の高い血糖降下薬および高血圧治療薬を中心に-
丹羽俊朗、本田真司、白川清治、今村 靖、大崎定行、高木 明

治療薬シリーズ(6)過敏性腸症候群
104
過敏性腸症候群治療薬の創薬研究
宮田桂司、伊東洋行



キーワード解説
108
タキキニン受容体 -胃・腸管領域における基礎と臨床-
児嶋修一、上川雄一郎

110
バゾプレシン受容体
森 豊樹、中村茂樹、藤木浩之

112
時間薬理学
柴田重信


マスコミを賑わせた発見

115
V1a受容体遺伝子欠損マウスから得られた血圧調節の新たな機構
輿水崇鏡、辻本豪三


コレスポンデンス
117
天の半分を女性が支えるようになるために
木村純子

リレーエッセイ vox nova
118
研究者の育成と「子育て」
田熊一敞

119
脳神経系発達とそのリスクファクターの薬理学的解析をめざして ―すべては「おっかしいなあ」から始まる?―
佐藤 薫

新教授紹介
121 石川智久、岩崎克典、大室弘美、小林広幸
122 小山 豊、高野行夫、中村和男、西 昭徳
123 松岡 功、松林弘明、村松 信、山本経之
124 雪村時人、吉田 真

お知らせ
9A JPS ニュース(IF 1.792)他
10-11A JPS 101:2, 101:3目次
12-13A Calendar、募集
14-15A 集会案内
16A 平成18年度第3回理事会報告
71頁 次号予告
87頁 E-journalアクセス集計
116頁 執筆の手引き
124頁 役員一覧

著者プロフィール
71,77

部会抄録
1P  第114回 関東部会 重信 弘毅
10P 第109回 近畿部会 大熊誠太郎

 

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●消化管病態研究のフロンティア●
我が国の消化管研究への取り組みは十分ではなく、創薬研究も著しく遅れているのが現状です。本特集では、分子を基盤として展開されている最新の研究を紹介し、今後の創薬分子ターゲット探索の一助とする。
(尾崎 博「消化管病態研究のフロンティア」序文p.67)

消化管の自然免疫系
Toll-like receptor (TLR)の機能解析により、自然免疫系の活性化機構が明らかになった。過剰な自然免疫系の活性化が慢性炎症性腸疾患の発症をきたす。そのため、自然免疫系の活性は過剰な炎症を抑制するために絶妙に制御されている。そのメカニズムの一端として、核に発現するIκBNSがTLR依存性の遺伝子発現を選択的に制御していることが明らかになった.
(竹田潔 IκBNSによる自然免疫系の活性制御と消化管炎症 p.68)

消化管運動と炎症
炎症性腸疾患をはじめとする消化管疾患には, 多くの場合消化管運動機能障害を伴う. 正常な腸内フローラ環境には, 正常な消化管運動が必須であり, その機能不全は腸内環境を悪化させ消化管疾患を増悪する. 本稿では, 腸炎疾患において, 消化管筋層部マクロファージを中心とした消化管筋層部の炎症応答と, 消化管運動機能不全との関係について概説する.
(堀正敏 腸炎疾患における消化管筋層部炎症応答と運動機能障害 p.72)

カプサイシンと消化管
侵害刺激受容体であるカプサイシン受容体TRPV1は胃や腸の感覚神経にも多く発現しており、酸、脂質等による疼痛発生や炎症時の痛覚過敏のみならず粘膜保護等の消化管の生理的機能にも関わっていることが明らかになりつつある。
(富永真琴 消化管におけるTRPV1の発現と機能 p.78)

PARの消化管機能
Gタンパク共役型プロテアーゼ受容体proteinase-activated receptor (PAR) は,消化管臓器に広範に発現し多様な役割を演じている.本稿では,PARの複雑な消化管機能を概説し,PARアゴニストあるいはアンタゴニストが胃粘膜傷害,過敏性腸症候群,炎症性腸疾患などを含む各種消化管疾患の治療薬として利用しうるか否かについて考察する.
(川畑篤史 PARの消化管機能 p.82)

NSAIDsの消化管傷害
関節リウマチ (RA) 患者では非ステロイド系抗炎症薬 (NSAIDs) の消化管傷害性が増大していることが知られている。本稿では、この現象を実験動物モデルを用いて基礎レベルで再現し、その機序について検討した種々の知見について紹介する.
(加藤伸一 慢性関節炎発症時における非ステロイド系抗炎症薬による消化管傷害性の変化 p.88)


総 説
フルボキサミンの薬物相互作用
選択的セロトニン再取り込み阻害薬フルボキサミンの薬物相互作用に関して、(1)生活習慣病薬として日常使用頻度の高い血糖降下薬および高血圧治療薬の薬物動態並びに(2)これらの薬物および各種cytochrome P450の代表的基質となる薬物とのin vitro阻害試験および臨床試験の報告を整理し、フルボキサミンとの薬物相互作用の有無を考察する.
(丹羽俊朗 選択的セロトニン再取り込み阻害薬フルボキサミンの薬物相互作用-生活習慣病薬として日常使用頻度の高い血糖降下薬および高血圧治療薬を中心に- p.93)

●治験薬シリーズ(6)過敏性腸症候群●
IBSと5-HT3受容体拮抗薬
IBSを適応症とした5-HT3受容体拮抗薬の研究開発が進み、下痢型IBSを適応症とした本邦での上市も間近になってきている。最近、腸管神経叢に関する研究が進展し、多くの神経伝達物質をターゲットとした新薬の研究開発も行われており、今後の展開が注目される。
(宮田桂司 過敏性腸症候群治療薬の創薬研究 p.104)

 

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