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日薬理誌第128巻第6号 2006年12月

目次 ハイライト top

アゴラ
363
薬理学の醍醐味
後藤勝年

特 集 ●パッチクランプ●
365
パッチクランプ  
若森 実

369
不可能が可能になった自動パッチクランプ装置  
小林 力

375
脳スライス標本を用いたDual whole-cell patch clamp法によるシナプス電流の解析 
小林真之

381
In vivoパッチクランプ記録法の実際と応用 -大脳皮質体性感覚野のシナプス応答  
吉村 恵、土井 篤、水野雅晴、古江秀昌


総 説
389
東洋医学の普遍性を如何に担保するか -異なったパラダイムの和諧を求めて-
寺澤捷年

395
免疫抑制薬タクロリムスの薬物動態に及ぼす薬物代謝酵素およびトランスポータの遺伝子多型の影響
丹羽俊朗、白神歳文、大村 稔、近藤利彦、黒田昌利、高木 明

治療薬シリーズ(10)アトピー性皮膚炎
405
アトピー性皮膚炎治療薬としてのDP1作動薬の可能性
新井 巌

411
アトピー性皮膚炎治療薬の臨床:現状と今後の治療薬に期待すること
生駒晃彦


新薬紹介総説
417
うつ病およびパニック障害治療薬 塩酸セルトラリン(ジェイゾロフトTM錠 25 mg, 50 mg) の薬理学的、薬物動態学的および臨床学的特徴
原田喜充、小原教仁、今枝孝行

425
新規過活動膀胱治療薬 コハク酸ソリフェナシン(ベシケアR錠)の薬理学的特性および臨床試験成績  
大竹昭良、佐藤修一、池田 賢、笹又理央、宮田桂司


キーワード解説
434
プロテアーゼ活性化受容体
松波真帆、関口富美子、川畑篤史


最近の話題
438
「治験のあり方に関する検討会」について
森岡久尚


研究室訪問
440
弘前大学 医学部薬理学教室
古川賢一

442
群馬大学 大学院医学系研究科 臓器病態薬理学
吉山伸司


学会便り
441
北部会 市民公開講座「漢方薬の功罪」
元村 成

443
関東部会 市民公開講座「在宅ケアの実践」 「ガンの新しい早期診断法」
吉山伸司


リレーエッセイ vox nova
444
Exercise and Pharmacology
三反崎 聖

445
「いい加減」の大切さ
西田基宏





追 悼
361 江橋節郎先生のご逝去を悼む 遠藤 實

お知らせ
41A  優秀論文賞選考案内
41A  募集、安全性情報No.229
42-43A Calendar, 役員一覧
44A  編集部ニュース
388   JPS 102:2目次
410   次号予告
415   E-journalアクセス集計
437  JPS 102:3目次
広告第1頁 執筆の手引き

著者プロフィール
368, 374, 380, 387, 394

部会報告
440 第57回北部会      元村 成
442 第115回関東部会&第34回薬物活性シンポジウム 小濱一弘

第128巻索引

 

 

ハイライト 目次 top

●パッチクランプ●
パッチクランプ法入門
創薬の標的や薬物の副作用の標的となるイオンチャネルやトランスポーターの機能を中心に研究する時、パッチクランプ法は強力な研究手法である。パッチクランプ法を用いる研究をしたことがない薬理学研究者を対象にパッチクランプ法の分類(whole-cell法とsingle-channel法)、利点・欠点、パッチクランプ法で多用される膜電位固定法を中心に解説する。
(若森 実 パッチクランプ p.365)

オートパッチクランプ法
初心者でもきれいな電流が取れるオートパッチクランプ.384個のパッチを一斉に作るものから、1つずつ測るものまで装置は多種。操作が簡単になっただけでなく,場所を取らない,速い溶液潅流,簡単な細胞内液交換、たたいても外れない安定なシールなど、利点は数知れない.
(小林力 不可能が可能になった自動パッチクランプ装置 p.369)
 


脳スライス標本のパッチクランプ法
脳スライス標本を用いたパッチクランプ法は、今や神経生理あるいは神経薬理の研究になくてはならない存在になったと言っても過言ではない。最近では、顕微鏡やマニピュレーターといったパッチクランプ実験に必要な周辺機器の改良が進み、複数の細胞から同時にホールセル記録を行うことも可能になってきた。本稿では、その実験手技の実際を紹介する.
(小林真之 脳スライス標本を用いたDual whole-cell patch clamp法によるシナプス電流の解析 p.375)

In vivoパッチクランプ法
大脳皮質体性感覚野からのin vivoパッチクランプ記録法とその応用について述べたものである。皮質細胞は浅層の細胞、深層の細胞にかかわらず、また記録部位にかかわらず周期的なburstingを示す。このburstingはウレタン麻酔では殆ど全ての細胞で記録されるが、バルビタールやベンゾジアゼピン系などGABAA受容体の作用を増強する麻酔薬を用いるとburstingは見られない。おそらくその起源は視床からの同期した入力によるものと考えられる.
(吉村 恵 In vivoパッチクランプ記録法の実際と応用 -大脳皮質体性感覚野のシナプス応答-  p.381)





総説
東洋医学について
東洋医学(漢方)は西洋医学とは異なったパラダイムである。その特徴は「気の思想」に基づく独特の病態認識と複数の生薬を組み合わせた「漢方方剤」を用いる点にある。西洋の知は近代自然科学を基盤に据えており普遍性・客観性・論理性を追求する体系である。生気論に立脚し、しかも多成分系薬剤を用いる東洋の知は客観性・普遍性を担保しにくい体系である。この2つの異なったパラダイムを如何に和諧させるかについて考えてみた.
(寺澤捷年 東洋医学の普遍性を如何に担保するか-異なったパラダイムの和諧を求めて- p.389)


タクロリムスの薬物動態
カルシニューリン阻害薬タクロリムスは主にCYP3A4/5で代謝され、MDR1の基質になる。そこで、CYP3A4/5およびMDR1の主要な遺伝子多型を紹介し、タクロリムスの薬物動態に及ぼす影響を整理した。タクロリムスの薬物動態には肝臓と消化管の両方に存在しているCYP3A4/5およびMDR1の遺伝子多型が複雑に絡み合って影響しているものと推察される.
(丹羽俊朗 免疫抑制薬タクロリムスの薬物動態に及ぼす薬物代謝酵素およびトランスポータの遺伝子多型の影響 p.395)

●治験薬シリーズ(10)アトピー性皮膚炎●
アトピー性皮膚炎とプロスタグランジン
近年,アトピー性皮膚炎は“痒みの病気”として認識される様になってきた.アトピー性皮膚炎モデルマウスの痒みに対し,プロスタグランジンD2 が抑制作用を示し,非ステロイド性抗炎症薬が増悪作用を示す.皮膚におけるプロスタグランジンD2によるアトピー性掻痒調節機構の仮説を紹介する.
(新井巌 アトピー性皮膚炎治療薬としてのDP1作動薬の可能性  p.405)

アトピー性皮膚炎治療の現状と今後
アトピー性皮膚炎の治療の基本は炎症の抑制、皮膚バリア機能障害の補完、そして痒みの抑制である。炎症抑制の主役であるステロイド外用薬は効力が高いが副作用の危険性もはらんでいる。そのためタクロリムス軟膏などの代替薬の開発が行われている。また、抗ヒスタミン薬以外の止痒薬の開発も注目される。今日とこれからのアトピー性皮膚炎の治療薬を紹介する.
(生駒晃彦 アトピー性皮膚炎治療薬の臨床:現状と今後の治療薬に期待すること p.411)

新薬紹介総説
うつ病治療薬の塩酸セルトラリン
うつ病等の薬物治療において,選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)は現在,三環系抗うつ薬等の従来の治療薬に替わり第1選択薬となっている。しかし既存のSSRIでは,個々の患者で反応性が異なることが知られており,薬物相互作用や副作用等の改善すべき幾つかの問題がある。これらの点を踏まえ,うつ病およびパニック障害の薬物治療に対する貢献が期待されている新規SSRI,塩酸セルトラリンの特性について概説する.
(原田喜充 うつ病およびパニック障害治療薬 塩酸セルトラリン(ジェイゾロフトTM錠25 mg,50 mg)の薬理学的,薬物動態学的および臨床学的特徴 p.417)

過活動膀胱治療薬のコハク酸ソリフェナシン
コハク酸ソリフェナシン(ベシケアR錠)は,ムスカリン受容体サブタイプのうち膀胱収縮に主に関与しているM3受容体に対して最も高い親和性を有する競合的拮抗薬である。本剤の特徴は膀胱組織選択性を有することで,過活動膀胱患者を対象とした臨床試験結果より,過活動膀胱の諸症状に対して高い改善効果を示すとともに,口内乾燥等の副作用による投与中止率の低いことが示されている.
(大竹昭良 新規過活動膀胱治療薬 コハク酸ソリフェナシン(ベシケアR錠)の薬理学的特性および臨床試験成績 p.425)

 

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