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日薬理誌第129巻第3号 2007年3月

目次 ハイライト top

アゴラ
155
料理と薬理
重信弘毅

特 集 ●血管病の分子機構と新たな治療戦略●
157
序文:光山勝慶

158
核酸医薬を用いた血管疾患に対する分子治療法
三宅 隆、森下竜一

163
血管内皮に備わっている血管新生制御の分子基盤
佐藤靖史

167
RLPの炎症惹起作用の解明とその制御
吉田雅幸

171
ステント内再狭窄の分子機構と生体吸収性ナノ粒子電着による遺伝子溶出ステントがもたらす新たな治療戦略
船越公太、江頭健輔



治療薬シリーズ(13)リウマチ
177
関節リウマチ治療薬の基礎:抗リウマチ薬創製の今後の展開
杉田尚久

182
リウマチ薬物治療の現状および問題点
竹内 勤

創薬シリーズ(1)標的探索
186
X線結晶構造解析からStructure-Based Drug Designへの応用と展開
木下誉富


創薬シリーズ(2)リード化合物の探索
191
天然物からの創薬:新しい創薬のタネを求めて
上田博嗣


新薬紹介総説
197
吸入ステロイド喘息治療薬 ブデソニド吸入用懸濁液(パルミコートR 吸入液)の薬理作用と臨床効果
渡辺秀子、矢野誠一、影山明彦

209
多発性硬化症治療薬インターフェロン ベータ-1a製剤(アボネックスR 筋注用シリンジ30μg) の薬理学的特性および臨床試験成績
隅野留理子


キーワード解説
219
Na,K-ATPase
鈴木邦明

223
シクロオキシゲナーゼ
竹内孝治、畑澤 亮


最近の話題
227
海外で発売中止となった医薬品の国内状況
長谷川隆一、齋藤充生

228
TGN1412治験事故に学ぶ
門田利人


リレーエッセイ vox nova
231
日頃思っていることを自由気ままに・・・
宮崎憲一

232
大学教員になるための免許・資格とは?
白川久志

お知らせ
前綴込  公告 通常総会開催
13A    学術奨励賞受賞者プロフィール
14A    JPS論文賞受賞論文プロフィール
15A    事務局NEWS、助成金、訃報
16-17A  募集、集会案内
18-19A  Calendar、募集
20A    役員一覧
166頁   E-journalアクセス集計
195-196頁 JPS103:2目次
218頁   執筆の手引き
222頁   次号予告
234頁   英語目次、等


著者プロフィール
162, 166, 170

 

ハイライト 目次 top

●血管病の分子機構●
序文 
血管病の研究は細胞、分子、遺伝子レベルでめざましい進歩を遂げつつある。本特集では、動脈硬化、動脈瘤、血管新生、血管再狭窄の分子機序および新たな治療戦略の最新の知見について紹介する。
(光山勝慶 「血管病の分子機構と新たな治療戦略」 序文 p.157)



核酸医薬を用いた分子治療法
核酸医薬を用いた血管疾患の治療法として、細胞周期、炎症に関係する遺伝子をターゲットにしたアンチセンス、デコイによる血行再建後の再狭窄予防療法とMMPの分泌をコントロールできるデコイを使った小径動脈瘤の早期治療方法の確立が進められている.
(三宅隆 核酸医薬を用いた血管疾患に対する分子治療法 p.158)



血管新生抑制因子Vasohibinの発見
代表的な血管新生促進因子であるVEGFの刺激によって血管内皮に発現誘導される遺伝子の網羅的解析を行い、その中から、血管内皮が選択的に産生し、しかも自身に対して選択的に作用して血管新生を抑制する新規因子を発見し、vasohibinと命名した。Vasohibinは、癌など血管新生が関係する疾患への治療応用が期待される.
(佐藤靖史 血管内皮に備わっている血管新生制御の分子基盤 p.163)

RLPの炎症惹起作用
メタボリックシンドロームにおける脂質代謝異常の中心である高中性脂肪血症の本態であるレムナントリポ蛋白(RLP)の炎症惹起作用について最近の知見をまとめた。RLPの作用とその活性中心の同定は、今後の動脈硬化症の病態解明および治療法の確立に極めて重要な研究領域であると考えられる.
(吉田雅幸 RLPの炎症惹起作用の解明とその制御 p.167)

ナノ粒子電着による遺伝子溶出ステント
我々は電着塗装の応用でポリ乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)ナノ粒子をステントにコーティングする技術を開発した。緑色蛍光タンパク(GFP)遺伝子プラスミドを封入したナノ粒子をコーティングしたステントをブタ冠動脈に留置したところ、28日後にも発現が確認された.
(船越公太 ステント内再狭窄の分子機構と生体吸収性ナノ粒子電着による遺伝子溶出ステントがもたらす新たな治療戦略 p.171)



治験薬シリーズ(13)リウマチ
抗リウマチ薬創製の今後
関節リウマチの新規治療薬の開発動向として,TNFαなど炎症性サイトカインをターゲットとするアプローチに加えて,B細胞表面の機能分子などを標的とする生物学的製剤の開発が活発になっている.一方で,炎症反応にかかわる機能分子を特異的に修飾する経口投与可能な分子ターゲット医薬品の開発も進んでおり,その代表格のp38阻害薬では関節リウマチに対する臨床効果も確認されている.
(杉田尚久 関節リウマチ治療薬の基礎:抗リウマチ薬創製の今後の展開 p.177)

リウマチ薬物治療の進歩
関節リウマチは、関節の痛みと腫れを特徴とする炎症性疾患で、原因が不明なことから身近な難病と呼ばれてきた。痛みを止めるだけの治療法しか無かった時代、関節は破壊され寝たきりになるケースも多く見受けられた。最近、有効な治療薬が導入され、治療の考え方も大きく変わったことによって、今や、寛解が治療のゴールとなってきた。その進歩の様子と、今後の課題について紹介する。
(竹内勤 リウマチ薬物治療の現状および問題点 p.182)

創薬シリーズ(1)標的探索
Structure-Based Drug Design
Structure-Based Drug Design(SBDD)は、薬物を得るまでに合成すべき化合物を合理的に絞り込むことができる創薬手法である。本稿ではX線結晶構造解析という実験事実を基盤としたSBDDについて解説する.
(木下誉富 X線結晶構造解析からStructure-Based Drug Designへの応用と展開 p.186)

創薬シリーズ(2)リード化合物の探索
天然物からの創薬
微生物の二次代謝産物を医薬シードとしてフルに活用するには、微生物産物に適したターゲットを見極め、微生物産物に適したスクリーニング系を構築すること、そして、醗酵産物ライブラリーの多様性を拡大することが重要である。アステラスの醗酵創薬の3つの例をもとに天然物創薬の醍醐味を紹介する.
(上田博嗣 天然物からの創薬:新しい創薬のタネを求めて p.191)

新薬紹介総説
ブデソニド吸入ステロイド喘息治療薬
吸入ブデソニドは,気管支喘息治療薬として持続性の局所抗炎症作用および気道選択性を有する。「パルミコート?吸入液」はブデソニドの水性懸濁液で,ネブライザーによりエアロゾル化して通常の呼吸動作で吸入投与できる薬剤である.本剤の導入により,既存のステロイド薬の吸入を効率的に行えない乳幼児患者に対してより有効な気管支喘息治療が行えることが期待される.
(渡辺秀子 吸入ステロイド喘息治療薬 ブデソニド吸入用懸濁液(パルミコートR吸入液)の薬理作用と臨床効果 p.197)

多発性硬化症治療薬インターフェロン ベータ-1a製剤
多発性硬化症治療薬インターフェロン ベータ(IFNβ)-1a製剤(販売名:アボネックス?筋注用シリンジ30μg)は,天然型ヒトIFNβとほぼ同じ構造をもつ遺伝子組換え型のインターフェロン製剤である.多発性硬化症に対して,脳MRI検査で検出される病変の新規発現,拡大を抑え,再発を抑制することから,再発寛解型多発性硬化症患者に有用な薬剤であると考えられる.(隅野留理子 多発性硬化症治療薬インターフェロン ベータ-1a製剤(アボネックスR筋注用シリンジ30μg)の薬理学的特性および臨床試験成績 p.209)

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