日本薬理学雑誌 > バックナンバー >

日薬理誌第132巻第3号 2008年9月

目次 ハイライト top


アゴラ
薬理学の研究・教育と「評価」
高濱和夫------- 137

 健康食品の薬理学―その基礎研究から起業独立まで
序文:
柳原延章----- 139

食品機能評価におけるバイオマーカーの重要性
大澤俊彦----- 140

緑茶カテキン受容体67LRを介したカテキンの機能性発現機構
立花宏文----- 145

植物性エストロゲンのカテコールアミン生合成・分泌への影響
柳原延章、豊平由美子、上野 晋、筒井正人、篠原優子、劉 民慧----- 150

陳皮の抗認知症成分nobiletinの薬理作用とその機能性食品開発への応用
山國 徹、中島 晶、大泉 康----- 155

安定・持続型ビタミンCの発明から大学発ベンチャーの立ち上げと保健機能性食品の誕生までの道程
山本 格----- 160

総 説
慢性腎臓病(CKD)治療薬の現状と新たな可能性
丸山彰一----- 166

治療薬シリーズ(29)標的分子薬-2
ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬の探索研究経緯
中島秀典----- 173

乳がん治療における新しい標的療法の可能性
戸井雅和----- 177

新薬紹介総説
新規持効型溶解インスリンアナログ注射製剤インスリン デテミル(レベミルR)の薬理学的特徴および臨床試験成績  
片山泰之、井上明弘、堀籠博亮----- 181

キーワード解説
PACAP受容体
橋本 均、新谷紀人、馬場明道-----189

最近の話題
オンチップ・セロミクス計測システム
寺薗英之、安田賢二-----192


サイエンスエッセイ
仮説:ヒトの脳が肥大した理由(最終回) 骨:賢者の石?
岡部 進-----194

研究室訪問
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科臨床薬学教室
川﨑博己---------------------196


お知らせ
前綴込  第82回年会案内
17A   公告 代議員選挙結果
18A   学術評議員候補者紹介
19A   執筆の手引き
20-23A 理事・監事のご紹介
24-25A 集会案内
26-27A  Calendar、募集
28A   役員一覧
159頁  次号予告
28P   JPS 107:4 目次

著者プロフィール
144, 149, 154, 159, 165

部会報告/抄録
196頁/13P第113回近畿部会 川﨑博己

 

 

ハイライト 目次 top

特 集
健康食品の薬理
健康食品市場は2005年に7,000億円の大台を突破した。健康食品(機能性食品)の中には薬理学的に見て興味ある成分が多々含まれる。「創薬」という観点から、その素材を健康食品に求め、薬理学という光のスポットを当てた最近のホットな話題を特集する.
(柳原延章 「健康食品の薬理学-その基礎研究から起業独立まで」序文 p.139)

食品機能評価とバイオマーカー
ヒト臨床試験で、尿や血液を対象に「抗体チップ」を用いて簡便にかつ定量的に機能性食品評価できる方法の開発を行った。さらに、機能性食品の抗酸化効果の公定化の設定を目的に検討を進めている.
(大澤俊彦 食品機能評価におけるバイオマーカーの重要性 p.140)

緑茶カテキン受容体薬理
緑茶カテキンの一種エピガロカテキンガレート(EGCG)の抗がん作用を仲介する細胞膜上の受容体(緑茶カテキン受容体)として同定した67 kDa ラミニンレセプターを介したEGCGの生理作用とその発現機序(緑茶カテキンシグナリング)について紹介する.
(立花宏文 緑茶カテキン受容体67LRを介したカテキンの機能性発現機構 p.145)

植物性エストロゲンとカテコールアミン
日常摂取する食物や健康食品の中の植物性エストロゲンとして、例えば大豆食品のダイゼインや赤ワインのレスベラトロール等がある。これら植物性エストロゲンの生体機能への影響、特に中枢神経や交感神経系の化学伝達物質であるカテコールアミンの動態に及ぼす影響について最近の知見を紹介する.
(柳原延章 植物性エストロゲンのカテコールアミン生合成?分泌への影響 p.150)

陳皮成分の抗認知症薬理
最初のアルツハイマー病(AD)症例報告からすでに一世紀が経過した現在,未だADの根本治療薬は開発されていない.最近,私たちは,動物実験により,生薬陳皮に含まれるポリメトキシフラボンのnobiletin がAD の原因物質であるアミロイド・ペプチド(Aβ)の脳内蓄積を抑制し,Aβ誘発性記憶障害を改善する活性を有することを発見した.本稿では,抗AD作用を含むその抗認知症作用と作用メカニズムについて紹介し,併せてnobiletinを利用した機能性食品の有用性について考察する.
(山國 徹 陳皮の抗認知症成分nobiletinの薬理作用とその機能性食品開発への応用 p.155)

持続型ビタミンC開発
ビタミンCは、かつては体内でブドウ糖から合成されていた栄養素であり、ストレスから身を守ってくれる生体防御物質の代表である。外部から摂取する際に問題となる壊れ易い欠点を解決した安定型ビタミンC(AA-2G)の誕生から応用までを紹介する。AA-2G は、現在医薬部外品および食品添加物として厚生労働省から認可され、美白化粧品として、また栄養機能商品としてそれぞれ商品化されている.
(山本 格 安定・持続型ビタミンCの発明から大学発ベンチャーの立ち上げと保健機能性食品の誕生までの道程 p.160)

総 説
慢性腎臓病(CKD)治療薬
現在、CKD慢性腎臓病に対する取り組みが世界的な運動に発展している。わが国でも日本腎臓病学会が中心となり、精力的にCKD対策を進めている。CKDに対する理解を深め適正な治療をより多くのCKD患者に施行するために、昨年CKD診療ガイドが作成され公開された。このガイドラインに沿い、CKDに対する治療薬につき概説する。特に、RAA系抑制薬を中心とした降圧薬、スタチン、エリスロポエチン製剤、経口炭粉吸着薬を取り上げる.
(丸山彰一 慢性腎臓病(CKD)治療薬の現状と新たな可能性 p.166)

治療薬シリーズ(29) 標的分子薬-2
ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬
転写調節の概念を大きく変えることに貢献したヒストン脱アセチル化酵素阻害薬の発見は、20世紀最後のケミカルバイオロジーの果実である。この有用な医薬品の創製とサイエンスの進歩に同時に貢献した物質群は、実は日本の研究者の各分野での長年の地道な研究の結果出現したことは一般にはあまり知られていない。この歴史的な発見の流れに企業研究者として運命的に参画した筆者の物語を紹介したい.
(中島秀典 ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬の探索研究経緯 p.173)

乳がん治療薬
抗HER2療法の臨床導入、分子プロファイルに基づく治療設計、個別化の概念の導入によって、乳がんの治療は大きく変化している。標的と対象を絞り込み、選択的に治療設計を行うことで、治療の効果、効率性は著しく改善している。また、治療効果の予測性も同時に高くなっており、従来とは比較にならないほど木目の細かいマネージメントが可能になった。新規治療法の導入、徹底した個別化と集学化、低侵襲化は今後一段と進むと思われる。
(戸井雅和 乳がん治療における新しい標的療法の可能性 p.177 )

新薬紹介総説
持効型溶解インスリンアナログ注射製剤インスリン デテミル(レベミルR
インスリン デテミル(レベミルR注)は、2007年12月に発売された新規持効型溶解インスリンアナログ注射製剤である。レベミルR注は脂肪鎖を付加し血漿中のアルブミンとの結合を利用することにより、基礎インスリン製剤に求められている、24時間に渡る緩除な作用持続性、安定した血糖低下作用、低血糖の軽減などの特徴を有している。今号では、その薬理学的特徴ならびに臨床試験成績の概要を紹介する.
(片山泰之 新規持効型溶解インスリンアナログ注射製剤インスリン デテミル(レベミルR)の薬理学的特徴および臨床試験成績 p.181)

 



 

 

ハイライト top 目次 top


 

 

このページの先頭へ