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日薬理誌第133巻第5号 2009年5月

目次 ハイライト top
アゴラ
私の薬理
井上和秀 ---245

受賞者講演総説
内耳蝸牛内高電位の成立機構の解明
日比野 浩 ---247

ヒト新規小胞体タンパク質HRD1の神経変性疾患治療に関する薬理学的基盤研究
金子雅幸 ---252

胎仔由来神経保護物質セロフェンド酸の発見と作用機序の解析
久米利明 ---257

 

実験技術
血管新生評価法
村田幸久 ---261

 

創薬シリーズ(4) 化合物を医薬品にするために必要な薬物動態試験(その1)吸収①②
DDS技術による消化管吸収の制御
大河原賢一 ---266

創薬における物性評価と薬物吸収
矢野浩志 ---270

 

新薬紹介総説
長時間作用型ARBイルベサルタン(イルベタンR錠50 mg、イルベタンR錠100 mg)の薬理作用と臨床特性
有吉祐亮、水本継吾 ---275

新規下痢型過敏性腸症候群治療薬 ラモセトロン塩酸塩(イリボーR錠)の薬理学的特徴および臨床試験成績
平田拓也、舩津敏之、毛戸祥博、阿久沢 忍、秋保 啓、西田明登、笹又理央、宮田桂司 ---281


キーワード解説
アンジオテンシン(1-7)
岡本 博 ---293

酸化LDL受容体LOX-1   
藤田佳子、沢村達也 ---295

最近の話題
サプリメントのEBM   
京谷陽司、趙 晶、吉栖正典 ---297

低酸素応答転写因子の組織リモデリングへの関与
冨田修平、玉置俊晃 ---298

リレーエッセイ
今!を楽しむということ
佐藤史佳--- 299

スーパースター
山本恭平 ---300

 

お知らせ
前綴込 年会優秀発表賞受賞者
37A   年会優秀発表賞審査員
38A    学術奨励賞および助成事業公募
39-84A 日本薬理学会報告
85A   集会案内、募集
86-87A Calendar、安全性情報No.256
88-89A JPS 109:4目次、次号予告
90A   役員一覧
302頁  執筆の手引き
     
著者プロフィール
251,256,260,265

 


 

ハイライト 目次 top
受賞講演総説
内耳蝸牛内高電位の成立機構の解明
内耳蝸牛を満たす内リンパ液は、+80 mVを示す特殊な細胞外液である。この電位は、「蝸牛内高電位」と呼ばれ、音受容を増幅する「生体電池」として機能するため、聴覚に必須の要素である。また、その障害が難聴を惹起する。近年、蝸牛内高電位の成立機構が、ほぼ明らかになった.
(日比野 浩 内耳蝸牛内高電位の成立機構の解明 p.247)

ヒト新規小胞体タンパク質HRD1の同定と機能解明
受賞者らは,小胞体タンパク質分解系ERADに関わる遺伝子として,ヒト新規ユビキチンリガーゼHRD1を同定した.HRD1はAPP(アルツハイマー病関連アミロイドβの前駆体タンパク質)およびPael受容体(パーキンソン病関連タンパク質)を分解促進し,神経細胞死を抑制する.また,アルツハイマー病患者脳でHRD1タンパク質量が減少していることから,HRD1の神経変性疾患治療薬としての可能性を考察する.
(金子雅幸 ヒト新規小胞体タンパク質HRD1の神経変性疾患治療に関する薬理学的基盤研究 p.252)

セロフェンド酸の発見と作用機序解析
多様な脳疾患に関与しているグルタミン酸神経毒性を制御する内在性神経保護因子の探索を進め、ウシ胎仔血清から新規の神経保護活性物質セロフェンド酸の単離に成功した。セロフェンド酸の発見に至った経緯とその薬理作用について最新の研究成果をもとに概説する.
(久米利明 胎仔由来神経保護物質セロフェンド酸の発見と作用機序の解析 p.257)

実験技術
血管新生評価法
効率的な血管新生制御法の開発は癌、心筋梗塞、リュウマチ、脳梗塞や糖尿病合併症など実に多くの病態の治療につながる。本稿では主要な血管新生評価法の概要と各特長を簡単にまとめた.
(村田幸久 血管新生評価法 p.261)

創薬シリーズ(4)化合物を医薬品にするために必要な薬物動態試験(その1)吸収①②
DDS技術による消化管吸収制御
化合物原体がそのままの形で生体に投与されることはきわめて稀であり、通常は適当な形状、すなわち剤形に加工されて用いられる。医薬品の剤形の性質は、投与後の薬物体内挙動に多大なる影響を及ぼすため、最終的な薬理効果を支配する重要な因子となっている。本稿では、薬物の消化管吸収の改善あるいはその制御を目指した製剤設計技術(DDS技術)に着目し、それらの現状を紹介する.
(大河原賢一 DDS技術による消化管吸収の制御 p.266)

創薬における物性評価と薬物吸収
薬物吸収の研究は、創薬研究の初期段階において重要な役割を担うようになった。実際の創薬の現場では吸収にかかわる多くの物性評価が実施され、多量のデータが取得されている。吸収改善を目指すためには、得られた物性データを活用し、吸収に対する定量的評価および吸収改善のための方法論の構築が重要となる.
(矢野浩志 創薬における物性評価と薬物吸収 p.270)

新薬紹介総説
長時間作用型AT1受容体選択的拮抗薬イルベサルタン(イルベタンR錠)
イルベサルタン(イルベタン?)はAT1受容体に選択的な拮抗作用を示し,日本人に対する臨床試験では10.1~15.2時間の長い血中半減期を示し,軽症から重症の高血圧症に優れた降圧効果を示した.これらの臨床成績からイルベサルタンは高血圧治療において極めて有効な薬剤であると期待される.
(有吉祐亮 長時間作用型ARBイルベサルタン(イルベタンR錠50 mg,イルベタンR錠100 mg)の薬理作用と臨床特性 p.275)

下痢型過敏性腸症候群治療薬 ラモセトロン塩酸塩(イリボーR錠)
新規下痢型過敏性腸症候群(IBS)治療薬であるラモセトロン塩酸塩(セロトニン5-HT3受容体拮抗薬,イリボーR錠)は,非臨床薬理試験において,ストレスにより惹起されるラットの排便亢進と大腸痛覚過敏を有意に抑制した。また,臨床試験において,下痢型IBS患者の全般症状に対して優れた改善効果を示したことから,ラモセトロン塩酸塩は下痢型IBSにおける諸症状の寛解に極めて有効な薬剤であると期待される.
(平田拓也 新規下痢型過敏性腸症候群治療薬 ラモセトロン塩酸塩(イリボーR錠)の薬理学的特徴および臨床試験成績 p.281)

 

 



 

 

 

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