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日薬理誌第134巻第3号 2009年9月

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アゴラ
新しい産学協同研究のかたち
福永浩司 ---113

特集 TRPチャネルタンパク質の新たな機能と病態生理
序 文:
西田基宏 ---115

1:受容体・機械刺激協働による心血管Ca2+流入チャネルTRPC6の活性化増幅機構 -PLC/DAG系とPLA2/ω-hydroxylase/20-HETE系のクロストーク-
井上隆司、森 誠之、瓦林靖広、菅 忠 ---116

2.TRPM2チャネルによる活性酸素シグナル増幅と慢性炎症の関連
山本伸一郎、清水俊一、森 泰生 ---122

3:循環器・呼吸器疾患におけるTRPチャネルの役割
渡邊博之 ---127

4:Gタンパク質共役型受容体-TRPCチャネルタンパク複合体形成による心肥大シグナル制御
西田基宏 、佐藤陽治、仲矢道雄、黒瀬 等 ---131

実験技術
5-選択反応時間課題(5-choice serial reaction time task)/3-選択反応時間課題(3-choice serial reaction time task)による注意機能・衝動性の評価
大村 優、木村 生、吉岡充弘 ---137

創薬シリーズ(4)化合物を医薬品にするために必要な薬物動態試験(その3)代謝①②
腸管における代謝
水間 俊 ---142

チトクロムP-450を介した薬物代謝
永田 清 ---146

 
新薬紹介総説
新規骨粗鬆症治療薬ミノドロン酸水和物(リカルボンR 錠1 mg/ボノテオR 錠1 mg)の薬理学的特性および臨床効果
田中 真、森 裕史、清水 聖、松岡俊行、山本屋肇、南出敏臣、森 政道、野﨑一敏、碓井孝志、下川建一郎、鈴木ひろみ、青山幸司、木本愛之、笹又理央、宮田桂司 ---149

慢性骨髄性白血病およびフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病治療薬ダサチニブ(スプリセルR錠20 mg、50 mg)の薬理学的特性および臨床効果
藤井 裕、天野 学、芹生 卓 ---159

キーワード解説
内皮由来膜過分極因子
伊藤猛雄、鈴木 光 ---169

最近の話題
即効性抗うつ薬
岩田宜芳 ---171

トランスポーター研究と疾患-機能解明から創薬標的へ-
北市清幸 ---172

製薬企業におけるトランスレーショナルリサーチの役割
田中 真 ---173

血液脳関門を構成する血管内皮細胞による神経前駆細胞の増殖・分化
久米利明 ---175

リレーエッセイ
今、研究できるということの・・・ 大澤匡弘  176

   

お知らせ
前綴込 第83回年会案内(第2報)
表2対向 新薬理学セミナー2009(トライアル)
17A  学術評議員候補者紹介
18-19A 集会案内
20-21A Calendar、次号予告
22A  JPS 110:4 目次
23A  第2回理事会報告
24A  役員一覧
広告第1頁 執筆の手引き

著者プロフィール
126, 130, 136, 141

 


 

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特集: TRPチャネル研究の新展開
ホルモンや物理化学的変化を感知する新しいタイプの陽イオンチャネル(TRPチャネル)が注目されている.本特集では,循環・末梢組織の機能調節および疾患形成におけるTRPチャネルの役割に焦点を絞り,最新の知見を紹介する.
(西田基宏「TRPチャネルタンパク質の新たな機能と病態生理」序文 p.115)

新たなTRPC6チャネル活性化増幅機構
TRPC6タンパク質は心血管系に広く分布し、心血管機能の制御や病態に密接に関わるCa2+流入チャネルである。このチャネルの活性化は、PLC共役型受容体刺激によるジアシルグリセロール産生を介して起こると信じられてきたが、最新の成果から、膜伸展・ずり応力等の機械刺激の同時作用によってPLA2/ω-hydroxylase/20-HETE系を介した著しい活性化増幅を受けることが明らかとなった.
(井上隆司 受容体・機械刺激協働による心血管Ca2+流入チャネルTRPC6の活性化増幅機構―PLC/DAG系とPLA2/ω-hydroxylase/20-HETE系のクロストーク― p.116)

TRPM2 チャネルと慢性炎症
生体の「感応」と「適応」を体現する TRPタンパク質において、TRPM2 は特に酸化的ストレスによって「感応」する Ca2+ チャネルである。本稿では酸化的ストレスによる TRPM2 の「感応」機構について新しい知見を加えて解説する。そして酸化的ストレスを「感応」し、Ca2+ シグナルへの変換を司る TRPM2 の「適応」として我々が近年明らかにしたケモカイン産生とそれに伴う炎症の悪化について詳述する.
(山本伸一郎 TRPM2 チャネルによる活性酸素シグナル増幅と慢性炎症の関連 p.122)

循環器・呼吸器疾患とTRPチャネル
心血管系・呼吸器系組織においても、多くのTRPチャネルが存在し、心肥大形成、血管炎症、血管内皮機能、咳嗽反射など種々の病態に関与している。本稿では、それら心血管系・呼吸器系疾患におけるTRPチャネルの役割について、現在までの知見を紹介したい.
(渡邊博之 循環器・呼吸器疾患におけるTRPチャネルの役割 p.127)

TRPCチャネルと心肥大シグナル制御 
心肥大は心筋の細胞内Ca2+濃度が増加することで誘発される.しかし,肥大形成に関わるCa2+の発生源はまだ明らかでない.我々は,ジアシルグリセロール感受性TRPCチャネルが受容体刺激で生じる心肥大応答を仲介することを見出した.本稿では,Gタンパク質共役型受容体-TRPCチャネルタンパク複合体による心肥大シグナル制御の分子機構とTRPCサブタイプ特異的な阻害による心不全治療の可能性について概説する.
(西田基宏 Gタンパク質共役型受容体-TRPCチャネルタンパク複合体形成による心肥大シグナル制御 p.131)

実験技術
実験動物注意機能・衝動性測定法
動物実験において注意機能・衝動性を定量的に評価することは,注意欠如多動性障害,統合失調症,薬物依存,境界性人格障害など様々な精神疾患の治療薬開発に役立つ.本稿では,注意機能・衝動性を適切かつ同時に測定できる評価系の世界的標準である5-選択反応時間課題とその簡略版である3-選択反応時間課題を紹介する.
(大村 優 5-選択反応時間課題(5-choice serial reaction time task)/3-選択反応時間課題(3-choice serial reaction time task)による注意機能・衝動性の評価 p.137)

創薬シリーズ(4) 化合物を医薬品にするために必要な薬物動態試験(その3) 代謝①②
腸管における薬物代謝
腸管代謝は、医薬品開発においてどのように捉えることができるだろうか。本稿では、経口バイオアベイラビリティなど薬物の体内動態に与える腸管代謝の速度論的インパクトについての解説から始まり、経口デリバリーへと視点を広げ、それらに関わる各種酵素を挙げ概説した。ヒトにおける腸管薬物代謝の知見が少ない中、すでにCYP3Aによる腸管代謝をご存知の方には、プレプロドラッグデザインなどさらに視野が広がることを願う.
(水間 俊 腸管における代謝 p.142)

チトクロムP-450を介した薬物代謝
薬物投与時に薬理効果や副作用・毒性発現の予測あるいは回避するためには、投与する薬物がどの様な薬物代謝酵素によって代謝を受けるのかを十分に理解することが求められている。本著の中では薬物の代謝において、非常に重要な役割を担っているP-450の酸化反応機構、種差、個人差について解説する.
(永田清 チトクロムP-450を介した薬物代謝 p.146)

新薬紹介総説
骨粗鬆症治療薬ミノドロン酸水和物(リカルボンR錠1 mg/ボノテオR錠1 mg)
日本で創製された第三世代のビスホスホネートであるミノドロン酸水和物は,非臨床試験において強力な骨吸収抑制作用により,骨密度および骨強度を改善した.また,日本人の骨粗鬆症患者を対象とした試験において骨密度を増加させ,初めてプラセボに対する有意な椎体骨折防止効果を示した.ミノドロン酸水和物は高い有効性を有し,かつ安全に長期投与可能な骨粗鬆症治療薬として,骨粗鬆症治療の選択肢を広げるものと期待される.
(田中 真 新規骨粗鬆症治療薬ミノドロン酸水和物(リカルボンR錠1 mg/ボノテオR錠1 mg)の薬理学的特性および臨床効果 p.149)

白血病治療薬ダサチニブ(スプリセルR錠20 mg, 50 mg)
ダサチニブ(スプリセルR錠)は慢性骨髄性白血病(CML)およびフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)の病因となるBCR-ABLチロシンキナーゼを阻害する分子標的治療薬であり、in vitroでの阻害活性はイマチニブの260倍であった。ダサチニブはイマチニブ抵抗性または不耐容のCMLおよび再発または難治性のPh+ALLの治療に今後新たな選択肢となる薬剤と考えられる。
(藤井 裕 慢性骨髄性白血病およびフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病治療薬ダサチニブ(スプリセルR錠20 mg, 50 mg)の薬理学的特性および臨床効果 p.159)

 

 

 

 

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