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日薬理誌第134巻第4号 2009年10月

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アゴラ
「薬理学」とは何か
田中利男 --- 177

特集 アポトーシス関連分子を標的とした疾病治療
序文:
服部裕一 --- 179

1:ミトコンドリア障害と神経系のアポトーシス~アルツハイマー病解明へのアプローチ~
田熊一敞、片岡駿介、吾郷由希夫、松田敏夫 --- 180

2:難治性白血病、癌治療におけるアポトーシスとオートファジー
足立壮一 --- 184

3:心疾患におけるアポトーシスの意義とその治療応用への可能性
竹村元三 --- 192

4:敗血症性ショックにおけるアポトーシスの治療
松田直之、山本誠士、寺前洋生、高野健一、別府 賢、山崎弘美、横尾宏毅、畠山 登、小池 薫、服部裕一 ---  198

総 説
脳梗塞:炎症の制御を標的とした治療戦略の可能性
北川一夫 --- 202

実験技術
ELISAにおける精度・検出限界の推定法
岩木和夫、林 譲 --- 207

創薬シリーズ(4)化合物を医薬品にするために必要な薬物動態試験(その3)代謝③
医薬品開発におけるチトクロムP-450遺伝子多型
南畝晋平、東 純一 --- 212

新薬紹介総説
カンデサルタン シレキセチル/ヒドロクロロチアジド配合剤(エカードR配合錠)の薬理作用および臨床効果
楠本啓司、森 光宏、田之頭淳一、戸塚伸夫 --- 217

非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬エトラビリン(インテレンスR錠100 mg)の薬理学的特徴および臨床試験成績
岩田理子、藤井秀二、吉田慎哉、原田 寧 --- 225


キーワード解説

ポテリジェント抗体
小山(柴田)真美、飯田 茂、佐藤光男 --- 233

最近の話題
抗ヒスタミン薬と認知機能:dimebonはアルツハイマー病の認知機能を改善する 
谷内一彦、吉川雄朗 --- 235

網膜視細胞シナプス形成に関わる細胞外マトリックスタンパク質ピカチュリン
荒木章之、大森義裕、古川貴久 --- 236

学会便り
関東部会市民公開講座 「新興感染症から私たちの生活をいかに守るか」を開催して
奥野友紀子 --- 237

研究室訪問
金沢大学 医薬保健研究域薬学系 薬物学研究室   
宝田剛志 --- 238

東京医科歯科大学 大学院疾患生命科学研究部形質発現制御学研究室    
小川 靖 --- 239

リレーエッセイ
わたし舟
後藤由佳 --- 240

 

新教授紹介
25A  筒井正人、山﨑 純

お知らせ
前綴込 理事・監事候補者推薦用紙
26A   役員・委員選挙実施日程
27-31A 被推薦権有資格者名簿
32-33A Calendar、次号予告、訃報
34A   役員一覧
20P   安全性情報No.260
広告第1頁 JPS 111:1目次
表2対向 執筆の手引き

著者プロフィール
183, 191, 197, 201, 206, 211

部会報告/抄録
238頁/ 1P 第115回近畿部会・・米田幸雄
239頁/13P 第120回関東部会・・萩原正敏

 


 

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特集:アポトーシスと疾病治療
アポトーシスに関与する分子種は,社会的に大きな問題となっている重篤な疾患に対する治療法のターゲットとして有望視されており,本特集では,これらを標的とした疾病治療の最新の話題について,基礎および臨床研究の立場からクローズアップする.(服部裕一「アポトーシス関連分子を標的とした疾病治療」序文 p.179)

ミトコンドリア障害・神経系アポトーシスとアルツハイマー病
「細胞の自殺プログラム」として見いだされたアポトーシスは,生理的細胞死のみならず病態的な細胞死においても重要な役割を果たすことが明らかとなってきた.本稿では,アルツハイマー病の病態発現に関わるアポトーシスとその発現制御におけるミトコンドリアの役割について,薬物治療の標的分子の観点から紹介する.(田熊 一敞 ミトコンドリア障害と神経系のアポトーシス ~アルツハイマー病解明へのアプローチ~ p.180)

癌治療とオートファジー
癌治療において細胞死の機序を解明することは、新規治療法の開発や耐性化の克服などの治療成績の向上や、副作用の軽減など、患者治療に直結する重要な研究である。我々は、白血病、固形腫瘍いずれの系においても、アポトーシス以外の細胞死の1つである、オートファジーの関与を証明した。血液悪性腫瘍疾患における新規治療法の開発につながるオートファジーについて解説する。
(足立壮一 難治性白血病、癌治療におけるアポトーシスとオートファジー p.184)

心疾患におけるアポトーシス
培養心筋細胞においてアポトーシスは実験的に誘導できる。しかし心不全を含め実際の心疾患においては心筋細胞アポトーシスの形態学的証拠は未だ無い。一方、心筋の間質細胞などの非心筋細胞は心筋梗塞巣(肉芽組織)において大量にアポトーシスで消失する。かつ、このアポトーシスを阻害すると梗塞後慢性期の左室リモデリング、心不全が軽減されるため、抗アポトーシス治療は大型梗塞後心不全の予防法となる可能性がある。(竹村元三 心疾患におけるアポトーシスの意義とその治療応用への可能性 p.192)

敗血症性ショックとアポトーシス
敗血症性ショックの進行には,血管内皮細胞のアポトーシスが関与する。FADDやcaspase3を標的としたアポトーシスを抑制する治療は,敗血症性ショックの進展を防ぐ有効な治療法と評価された.
(松田直之 敗血症性ショックにおけるアポトーシスの治療 p.198)

総説
脳梗塞における新たな治療戦略の可能性
2005年に脳梗塞急性期治療薬として血栓溶解療法が認可されたが、その恩恵を受ける患者は全体の5%以下であり他の治療手段の開発が望まれている。わが国では脳保護薬としてエダラボンの有効性が示され認可されているが、海外での多くの臨床試験では他の脳保護候補薬の有効性は証明されなかった。脳梗塞では炎症反応の虚血病態進展への寄与が明らかとなり、梗塞周囲のミクログリア、血管壁での炎症を制御する手段は脳梗塞治療薬を考える上で重要と考えられる.
(北川 一夫 脳梗塞:炎症の制御を標的とした治療戦略の可能性 p.202)

実験技術
ELISAにおける精度・検出限界の推定法
検出限界は、目的物質が検出できる最低の量として定義されている。ある物質が存在するかしないかは、重要な国際問題になることもある。そこで、検出限界を求める方法が国際ルールとして定められている。しかし、このルールは「くり返し測定をn回しなさい」などという実験法ではなく、「誤った結論を導く確率は5%以下である」などという概念である。本稿では、このルールの概念と具体的なELISAへの応用を解説する.
(岩木和夫 ELISAにおける精度・検出限界の推定法 p.207)

創薬シリーズ(4)化合物を医薬品にするために必要な薬物動態試験(その3) 代謝③
医薬品開発におけるチトクロムP-450遺伝子多型
CYP450遺伝子多型が薬物血中濃度の個人差を引き起こす原因の一つとなることは、もはや周知の事実である。近年、医薬品の開発成功率の低下から、遺伝子多型情報を医薬品開発に利用し開発の効率化を図ろうとする動きが議論されている。本稿では、医薬品開発の意思決定におけるCYP450遺伝子多型情報の意義について考察する.(南畝晋平 医薬品開発におけるチトクロムP-450遺伝子多型 p.212)

新薬紹介総説
高血圧治療薬カンデサルタン シレキセチル/ヒドロクロロチアジド配合剤(エカードR配合錠)
エカードR配合錠はアンジオテンシンⅡタイプ1受容体拮抗薬であるカンデサルタン シレキセチルとチアジド系利尿薬であるヒドロクロロチアジドとの配合剤であり、高血圧を適用として本年1月に承認された.本稿ではエカードR配合錠の薬理作用と臨床成績を紹介し、本剤の有用性を明らかにする.
(楠本啓司 カンデサルタン シレキセチル/ヒドロクロロチアジド配合剤(エカードR配合錠)の薬理作用および臨床効果 p.217)

非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬エトラビリン(インテレンスR錠100 mg)
エトラビリンは新規非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)である。既存のNNRTIは交叉耐性を生じやすいが、本薬は既存のNNRTIに耐性を示すHIVウイルスにも高い有効性を維持し、新たな変異を出現しにくいという特徴を持つ.多剤耐性ウイルスの出現が課題であるHIV感染症の治療において、本薬は新たな治療選択肢の1つとして期待される.本稿ではエトラビリンの薬理学的特徴と臨床試験成績を紹介する.
(岩田理子 非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬エトラビリン(インテレンスR錠100 mg)の薬理学的特徴および臨床試験成績 p.225)

 

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